静岡文化芸術大学がフェアトレード大学認定 「すべての人の平等」訴え

下澤嶽教授(右)と「りとるあーす」代表の日比野都麦さん(左)

下澤嶽教授(右)と「りとるあーす」代表の日比野都麦さん(左)

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 浜松の「静岡文化芸術大学」(浜松市中区中央、TEL 053-457-6111)が2月1日、日本初のフェアトレード大学として認定された。

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 開発途上国で作られた物を適正な価格で取引することで、貧困な生産者の生活改善や自立支援をする「フェアトレード」。フェアトレードの普及を図る大学に送られる称号「フェアトレード大学」の認定には「学生による公式的な団体があること」、「フェアトレードに関して知る機会や学びが学内にあること」、「学内でフェアトレード商品の購入が可能であること」「大学によるフェアトレード商品の調達」「憲章が大学全体で作られ、公表されていること」の5つの基準がある。

 同大学は昨年6月に憲章を策定し、9月にフェアトレード大学認定申請を提出。今年の2月1日に、日本フェアトレードフォーラム理事会にてフェアトレード大学として認定を受けた。

 同大学で「NPO、NGO論」や「国際協力論」などを教える下澤嶽(たかし)教授が、国際協力として実践的にできることはないかと考え、2011年に学生に呼びかけサークル「りとるあーす」を立ち上げたことが活動の始まり。学園祭や学外のイベントでフェアトレード商品の販売や、NGOのドキュメンタリー映画の上映をしたところ、学生が興味を持ち反応が良かったという。活動の幅を増やし、「フェアトレード学生ネットワーク」の全国大会や勉強会の参加し横のつながりを増やしていった。ほかにも、フェアトレードのクッキーやスコーンなどオリジナル商品の開発も行い、学内の購買でも販売を行った。

 フェアトレード大学認定のために、学生を中心に「静岡文化芸術大学フェアトレード憲章」を策定。同憲章はフェアトレードが「あたりまえ」になるような社会を目指した表現や、すべての人々の平等を訴える内容とした。

 りとるあーす代表の日比野都麦(つむぎ)さんは「日本で初めてのフェアトレード大学の認証なので、とても名誉なことだと思う。深く関わることができ光栄。大事なことや先輩たちの努力を後輩に伝えていきたい」と話す。

 「フェアトレードは開発途上国の貧困層の問題だが、それ以外にも世界にはさまざまな食料問題がある。地球は一つなので、これからはフェアトレードからほかの問題への横のつながりが増えていき、同じ目線で見る時代になる」と下澤教授。「中高年の人は、『フェアトレード商品なんて高くてまずい』というネガティブイメージを持つ人が多いが、今は教科書に載ったり入試問題にも出たりと、10代の人は抵抗なく敏感に反応する時代。若い人にチャンスを与えていき、どうしたら社会に還元できるかを身につけてもらいたい」とも。

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