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浜松・舞阪町で浜名湖産カキ殻のクラフトビール開発 廃棄資源を有効利用

イベント「ビアランピック」でお披露目されたクラフトビール「ミネラルブリュー」

イベント「ビアランピック」でお披露目されたクラフトビール「ミネラルブリュー」

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 街中の活性化事業などを手がける一般社団法人「funbank(ファンバンク)」(中央区)が9月22日、浜名湖産カキの殻を副原料にしたクラフトビール「ミネラルブリュー」の販売を始めた。

浜名湖産カキの殻を副原料にしたクラフトビール「ミネラルブリュー」

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 2021年に始まったランニングイベント「ビアランハママツ」代表でファンバンク創設者の大城七瀬さんが、イベントのオリジナルビールを作りたいと思い描き、醸造会社「オクタゴンビール」(中央区)と舞阪地区のカキ養殖業者とのコラボにより実現にこぎ着けた。

 コンセプトは「環境とアスリートに優しいビール」。同社によると、カキ殻を粉砕して副原料にする同品にはカリウムやマグネシウムなどが含まれるため、運動で失われてしまうミネラルを補えるという。舞阪町養かき組合では年間200トンもの殻が排出され、その処理が問題となっていた。カキを養殖・販売する「八木田牡蠣(かき)商店」代表の八木田昇一さんは「殻を処分するための持続可能な事業を確立したいと考えてきた中で、その一歩目になった」と話す。

 八木田牡蠣商店のカキ殻を水産物卸売店「カネ渥」(舞阪町)が粉砕し、煮出した抽出液を発酵させてビールを作る。水道水と比べ抽出液にはカルシウムやマグネシウム、カリウムなどのミネラルが多く含まれるため(「浜松環境衛生研究所」調べ)、「一般的な国産ビールより硬い風味を感じられる」(大城さん)という。大麦ではなく小麦を使うことでまろやかな口当たりに仕上げた。舞阪地区と浜松の市街地をモチーフにしたラベルデザインは、地元イラストレーターの加納詩織さんが手がけた。

 9月22日には発売記念として「ビアランハママツ」の派生イベント「ビアランピック」を開催し、「ミネラルブリュー」をお披露目。アットホームな雰囲気の中、ランニング後に参加ランナー70人と来場者300人が一斉に乾杯して会場を盛り上げた。将来的には、粉砕した殻を肥料にした地元農作物を使ったフレーバービールの開発も計画しているという。

 「ランニング後に飲める特別なビールができた。浜松と浜名湖の魅力が詰まっているので、一度試してほしい」と大城さん。ファンバンク理事の山崎真之輔さんは「このビールだけで全ての殻を処分することは難しいが、漁師の抱える課題を知るきっかけになればうれしい。多くの人が楽しみ、地域の活性化にもつなげていきたい」と期待を込める。

 価格は330ミリリットル入り=900円。ファンバンクと市内飲食店で販売する。

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