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浜松・小松に「本棚シェア型」私設図書館 社会貢献にも意欲

「本棚のオーナーには店番を担当できる特典も付く。残枠があるうち応募してもらえたら」と話す生熊さん(右)と伊藤さん(左)

「本棚のオーナーには店番を担当できる特典も付く。残枠があるうち応募してもらえたら」と話す生熊さん(右)と伊藤さん(左)

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 私設図書館「みんなの本棚 book nook(ブックヌック)」(浜松市浜名区小松)が6月2日、オーガニックカフェ&雑貨店「The Bridge(ザ ブリッジ)」2階にオープンした。

子ども向け陶芸教室などのワークショップも開催予定の「みんなの本棚 book nook」

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 運営は一般社団法人「LOCAL ACTION HAMAMATSU」。同館のオープンは、同法人代表の伊藤麻優子さんと生熊美千江さんが、九州にある「本棚シェア型」の民間図書館を訪れたのがきっかけ。生熊さんは「個人が本棚の一区画を借りて本を置くことで、施設利用者と本を共有できる『本棚シェア型図書館』は、棚ごとに借主の個性が表れる。本を通して、本棚の借主の人となりが施設利用者に伝わる点に面白さがあり、私設図書館が地域のコミュニティの場になっている点にも魅力を感じた」と話す。伊藤さんらは、浜松でも、読書を通して地域の人がゆるやかにつながれる場所をつくろうと、同館のオープンを決めた。

 店舗面積は約25坪。壁面に木製の本棚を配し、地域の人から寄贈されたソファやテーブルを置いてくつろげる空間に仕上げた。

 同施設では、縦約31センチ、 横約38センチ、奥行き約24センチの本棚計90区画を一区画あたり月額2,200円で貸し出す。本棚オーナーは、同施設規約の範囲内であればあらゆるジャンルの本を並べられ、来館者と共有できるほか、名刺やパンフレットを置いて自身の仕事や活動をアピールすることもできる。来館者は無料で本を閲覧でき、1階のカフェ「The Bridge」で販売しているドリンクや焼き菓子なども持ち込める。「公共図書館との違いは、オーナーの『偏愛』が棚にそのまま表れる点」と生熊さん。「推し作家」の小説が並ぶ棚や、医療や終活関連の書籍が並ぶ棚など、オーナー独自の選書が魅力という。

 本棚オーナーには特典を付与。1階の「The Bridge」で使える500円クーポン、または「こども未来チケット」3枚分の寄付から選んでもらう。「こども未来チケット」は、1枚で子ども1食分の食事券となる。同施設に常に置いておくことで、来館した子どもたちが食事を取りたいときに自由に使える仕組み。同施設では月1回、子ども食堂も運営しているが、「こども未来チケットを常に置いておけば、給食がない夏休みなども、いつでも継続して子どもたちに食事を届けられる」と生熊さん。現在、近隣の小中学校と連携し、地域の子どもたちに当チケットを周知するための活動もしている。

 現在、約20区画の本棚を貸し出している。伊藤さんは「社会貢献型の私設図書館は珍しい。ブックヌックが他地域のロールモデルになれば」と意気込む。生熊さんは「子どもから大人まで、本好きな人たちが気軽に集まり、地域のつながりが生まれる場になれば」と話す。

 営業時間はインスタグラムで告知する。日曜・祝日定休。

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