浜松・蜆塚の浜松市博物館(浜松市中区蜆塚、TEL 053-456-2208)で9月16日から、特別展「わたしのこけし」が開催される。
現在、東京を中心に広がりをみせる「こけしブーム」がじわじわと地方にも広がってきている中、こけしをコレクションして飾ったり、SNSに載せたりする「こけし女子」が増えてきているという。ブームが来ているこの機に、浜松在住のこけしコレクターの池沼悠夫(はるお)さんの協力を得て、輪を広げようと同展の開催を決めた。
池沼さんが昭和30年代から50年代に集めた各地のこけし約1800体の中から、厳選したものを展示する同展。展示物は現在池沼さんが選定中で、約300体を予定する。一般的によく知られる鳴子系や人気のある津軽系、南部系、肘折系など第2次こけしブーム時に製作されたこけし10系統が並ぶ。5センチくらいの小さなものから50センチほどの大きなものまで大小さまざま。転びそうな細いものからどっしりとした形のものまで形だけでも幅があり、髪型や目つきなど1つ1つ違った表情を見せる。さらに、こけし工人(こうじん)が製作した「えじこ」や「だるま」などの木地玩具も展示する。
同展ではこけしの歴史やこけしの系統をパネルで説明をするほか、コレクターがどのように保管し手入れしているかなど、コレクター目線で展示する。「このような展示会で歴史や系統などを説明することは多いが、コレクター目線の工夫をされることがない。コレクターの立場でこけしを見ることで違った見え方や楽しみ方が見えてくる」と担当学芸員の佐野聖子さん。ギャラリートークでは展示品を見ながら集めたときのエピソードや、来場客の疑問に佐野さんや池沼さんが答える。
「第2次ブームの後、こけし工人も減り需要も減ってしまった。第3次ブームが来た今、新たな若い世代に興味を持ってもらい、こけしの魅力を伝えていきたい」と佐野さん。「1つ1つの顔の表情をじっくり見てほしい。いろいろなタイプがあるので自分の好みのタイプを探したりそれぞれのストーリーを思い浮かべたりしてみるのも面白いと思う」とも。
開催時間は9時~17時。月曜休館(祝日は翌日休館)。ギャラリートークは9月16日、10月5日・22日。入場料は、一般=300円、高校生=150円、中学生以下無料。70歳以上・障がい者無料。11月5日まで。