浜松の老舗ハーモニカメーカーが70周年記念に金のハーモニカ

70周年記念ハーモニカを吹く2代目の酢山義則さん

70周年記念ハーモニカを吹く2代目の酢山義則さん

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 浜松のハーモニカメーカー「昭和楽器製造」(浜松市中区上島、TEL 053-471-4341)が11月15日、70周年を記念した「複音ハーモニカ Showa 21 Special Gold」の販売を始めた。

70周年を記念したロゴを刻印した金メッキのハーモニカ

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 1947(昭和22)年からハーモニカの製造一筋で経営してきた同社。創業時は戦後間もなく、材料不足に悩みながらもハーモニカの製作と販売を続け、ハーモニカの巨匠「宮田東峰(とうほう)」の指導のもと製作したハーモニカ「スペシャルミヤタ」も販売。学校教材としてハーモニカが使われた時代には1日約1,800本のハーモニカを出荷していた。しかし、鍵盤ハーモニカの登場により、ハーモニカ業界は衰退。市内に14社あったハーモニカ製造会社も現在では全国で4社しか残っていないという。

 その後苦しい時代が続いたが、浜名湖花博が開催された際にハーモニカを展示したことで転機が訪れた。唱歌や童謡など懐かしいメロディーを演奏したことで、ハーモニカが脚光を浴び、地元のホテルやショップなどで観光土産としてミニハーモニカの販売を開始。「ピアノやフルート、電子楽器などが人気で、ハーモニカは楽器店に置いても売れない時代。花博を機に、楽器の街・浜松の名工品として土産物店で売れるようになった。60~70代の人たちが懐かしんで買っていく」と2代目の酢山義則さんは話す。

 今年8月で70周年を迎えた同社。70周年の節目の年に、愛好者に感謝の気持ちを伝えようと半年前から準備を進め、70周年記念ハーモニカを製作。同製品は複音の21穴で、長調4種類、短調1種類の計5種類を用意。通常0.8ミリメートルの台板を0.9ミリメートルにすることで、強く吹いても低く吹いても一定の音程が出て、響きの良いハーモニカに仕上げたという。先代の頃の3人の職人を真似して技術を磨いた酢山さん。現在もハーモニカ職人として製品を作り続けている。須山さんの指導のもと、同商品も手作りで、社員全員が協力。さまざまな案を出し合い作り上げた。ハーモニカの心臓部分である音を響かせるリードを整え、耳とチューナーを使って正確に音の微調整をするという。デザインは耐久性に優れた樹脂製の本体に金メッキを施し、70周年を記念したロゴを刻印。収納するケースは湿気を取ることにも優れた紙箱を採用した。

 「わざわざ当社のハーモニカを求めて来てくれる人がいることは本当にうれしいこと。記念モデルの同製品は以前大手メーカーで製造に関わっていた人からの意見も取り入れ、最高のハーモニカに仕上げることができた」と酢山さん。「ハーモニカが好きで、ハーモニカ一筋で生きてきたが、業界として後継者不足という悩みがある。ハーモニカをなくしたくないという気持ちでいっぱい。初代が現役でいた82歳までのあと4年、自分も現役で頑張っていく。必ずハーモニカ職人を育て、次の世代へとつなげていきたい」とも。

 販売価格は9,800円(税別)。限定300本。販売は電話問い合わせのみ。

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