インターネット上の仮想空間「メタバース」で開催されている「バーチャルマーケット 2023 Summer」に現在、浜松市のブースが出展している。
「バーチャルマーケット」を主催するのは、メタバースイベントの企画・運営などを展開する「HIKKY(ヒッキー)」(東京都)。メタバース上にある会場で、アバターなどの3Dデータ商品や「洋服」「飲食物」などの現実世界の商品を売り買いできるVRイベントとして、2018(平成30)年から手がけている。5年目となる今年は10回目の開催。VRとは「Virtual Reality(バーチャルリアリティー)」の略で、仮想空間を現実世界のように体感できる技術やデバイスツールを指す。日本国内だけでなく世界中から100万人以上が来場するイベントで、商品販売のほか、乗り物への乗車、映画鑑賞、音楽ライブなどバーチャル空間ならではの体験を提供する。
浜松市では現在、市の魅力発信の方法として紙のパンフレットではなく、動画やウェブでの配信などデジタルプロモーションに力を入れている。浜松市役所観光・シティプロモーション課の小粥圭一さんによると「メタバース」「ウェブスリー」といった新しいキーワードが注目される中、市としても新しい手法でさらに多くのターゲットに向けて発信するチャレンジになると、同イベントへの出展を決めたという。小粥さんは「全く分からない世界だったが『やらまいか精神』を持って第一歩を踏み出した」と話す。
同市が出展する会場「パラリアル福岡」は、「焼津市」「西日本鉄道」「ビームス」など全11団体が出展。ブースの入り口には3Dモデルの「出世大名 家康くん」が来場者を出迎え、浜松まつりの「たこ揚げ体験」ができる場所を用意。浜松城の天守部分の設置や、特産品「うなぎ」「浜松ギョーザ」「バイク」などの3Dモデルを展示し、観光に来たかのような写真が撮れるという。ブース内のポスターやバナーから商品購入サイトへ移動し、実際に買い物ができるようにしたとも。小粥さんは「たこ揚げでは、アバターがたこに乗って撮影することもできる。この空間だからこそ体験できるコンテンツでPRすることを目指した」と話す。
開幕後の来場者アンケートには、既に400人以上が回答。SNSでは「浜松に行ってみたい」「商品を購入した」といった反響があり、たこ揚げ動画や特産品を持った記念写真などを投稿している人も見かけるという。今後は職員がアバターとして接客や交流をしていきたいとも。
小粥さんは「国内外問わず多くの人に浜松の魅力を知ってもらいたい。初出展なので、今回の経験を今後に生かしたい」と話す。
30日まで。