浜松の老舗ソースメーカー「鳥居食品」(浜松市中区相生、TEL 053-461-1575)が12月4日、今年自社開発してできた「最良」のソース「The Sauce 2015」の販売を開始した。
同商品の開発は5年目。同社では「究極のソースプロジェクト」として、初年度は「砂糖を使わず野菜果物の甘みで作るソース」をコンセプトに開発。2年目は「震災から考える半径50キロ内で手に入れた原料のソース」、3年目は「野菜からとれる10%のぜいたくなフォンで作ったソース」をコンセプトに開発し、いずれも100本限定で発売したところ数日で完売した。4年目となる昨年は「より多くの人に届けたい」という思いから200本に増産。「和食に合うソース」をコンセプトに販売したところ2日で完売した。
今年のコンセプトは「浜名湖産牡蠣でつくったオイスターソース」。「料理に対する相性を考えた際に、オイスターソースの需要の高さに気づかされた」と社長の鳥居大資(だいし)さん。一般的にカキの産地としては広島や宮城が有名だが、塩水と淡水が混ざり合うところがカキの生育には良く、浜名湖も最高の漁場。その浜名湖で栄養を蓄え、産卵期を控えた3月に捕ったカキを使用する。「以前から浜名湖のカキを有効利用したいと言われていた」と鳥居さん。浜名湖産のカキを使ったオイスターソースは日本で初という。
「うまみ調味料を使用している既存のオイスターソースと一線を画し、純粋なカキのうまみのみで作りたかった」と鳥居さん。カキを使用するにあたり、カキの量を増やすとして1本に8~10グラムのカキが6個入るよう、ふんだんにカキを使ったほか、通常オイスターソースを作る際にカキのゆで汁を煮詰める工程を、同ソースではカキを丸ごとすりつぶして入れた。このほか、地元の加藤醤油培養の塩麹(こうじ)にカキを漬けて、カキのたんぱく質を麹の酵素でアミノ酸に分解、うまみ成分を最大限に引き出したオイスターソースに仕上げたという。
「カキをふんだんに使うことでカキのうまみを引き出すことはできたが、魚介独特の強い香りが出てしまった」という問題点は、八丁みそと同社の5年熟成させたウスターソースを使うことで解消。鳥居さんは「もともとウスターソースは肉料理の臭み消しで使われていたこともあり、採用した。熟成したウスターソースは単体ではまろやか過ぎてしまうくらい丸みのある味わい。使用したことで臭みのマスキング効果があった」と話す。
これまでのソースとは少し違った形での究極のソース開発となったが「長年ソース屋として作りたかったものの一つとしてオイスターソースがあったので作ることができて非常にうれしい」と鳥居さん。「今後は浜名湖のカキの良さを全国に広められるよう定番化を視野に入れ、よりいっそう努力したい」とも。
価格は1,800円(100ミリリットル)。同社オンラインショップと工場直販所のみで扱う。