浜松の老舗ソースメーカー「鳥居食品」(浜松市中区相生、TEL 053-461-1575)が3月8日から、自社ソースの量り売りを開始した。
以前は量り売りの形で販売していたソース。戦後、商店からスーパーへと商品販売の形態の移り変わりとともにその姿は無くなり、ボトル詰めされた商品の販売へと変わった。以前より「お客さまの要望にあわせ好みのソースを販売したい」と考えていた同社社長の鳥居大資(だいし)さん。自社の無添加のウスターソース、中濃ソースにハバネロを使った辛いソースを組み合わせることで量り売りの形を実現した。
ハバネロを使ったソースは今回の量り売りを行うために新たに開発。通常の唐辛子ではなく、辛さにインパクトのあるハバネロを使いたいという鳥居さんの思いから、浜松の農家「農ティス」に栽培を依頼。「鳥居さんに言われ、急きょ地元産のハバネロを栽培することになった。経験の無いものなので栽培には苦労した。農薬を使わず栽培したので虫が寄ってきたが、虫も一口食べたらその後は触れないほど辛いものが出来上がったのでソースにも味が反映されると思う」と生産者の今津亮さん。これまでの辛いソースに比べ、口に入れた瞬間から辛さを感じるが後にひかない口当たりに仕上がったという。
価格は500円。販売は工場直販所のみ。購入の際には代表的なブレンドのサンプルを提供する。ハバネロソース100パーセントとハバネロソース50パーセント+ウスターソース50パーセント、ハバネロソース50パーセント+中濃ソース50パーセント、ハバネロソース20パーセント+ウスターソース80パーセントの4種類のソースを味見し、自分の好みに近い味を探す。スタッフが感想を聞き、組み合わせを微調整することで、客の好みの味のソースに仕上げていく。販売する商品は200ミリリットル。それぞれ10ミリリットル単位で3種のソースを組み合わせるため、64通りの組み合わせが生まれるという。
販売開始から数日たち、うわさを聞き来店する客もいるという。「女性よりも男性のほうがカスタマイズという響きからか喜んで利用してもらっている」とスタッフの鈴木さん。「利用客の多くが楽しみながら自分なりにソースをカスタマイズしている」とも。
もともとは既存商品のリニューアルで辛いソースの開発を行ってきた。モニターとの対話の中で得たことは人の辛さの好みは千差万別のため一つの辛さに集約することに限界を感じたという。「祖父母の時代は量り売りをしていたのでその量り売りの復活と辛さのカスタマイズがシンクロし、今回の販売にこぎ着けることができた」と鳥居さん。「これからは個の時代なので、お客さまの好みの辛さでソースを提供することが一番いい商品の提供の仕方だと思う。多くの方に利用していただきたい。ノウハウを蓄積し、将来的にはオンラインショップでも販売したい」と意気込む。
営業時間は9時~5時。土曜・日曜定休。