河合楽器製作所(浜松市中区寺島)は7月22日、iPhoneアプリ「楽譜カメラ」のダウンロード販売を始めた。
同アプリはiPhoneのカメラで撮影した楽譜から音符や記号を読み取って音を出す。読み取れる楽譜はカメラ精度などにより楽譜の狭い範囲に限られるが、多少の色むらやゆがみなどがあっても音符を認識する。音符は短音から和音まで読み取れ、下の音だけを読み取るなどの部分的な読み取りも可能。読み取った音は中央の「TAP」ボタンで音を鳴らすことができ、音符をなぞって、音を鳴らす「なぞり演奏」もできる。音は音程や音色を変えることも可能。
使用中に楽器や楽譜を持てるように、操作のほとんどを片手で操作できることや、起動直後はカメラモードにして即座に使うことができるなどの工夫が盛り込まれている。
同社では15年ほど前から、スキャナーで楽譜を読み込んで音符を認識するパソコン用ソフト「スコアメーカーFX5」を販売しており、「スマートフォンでもできないか」ということで今回のアプリが生まれた。
開発を担当した同社電子楽器事業部コンピュータミュージック室開発グループの勝田雅則さんは「楽譜全体を読み込んだら、携帯のカメラなので解像度が低くて読み取れなかった。実用化のハードルが高かったが、楽譜を部分的に特化すれば認識できるのではないかと、今回の開発に至った」と開発時の苦労を振り返る。
同アプリは遊びとしても使えるが、歌を歌うときに音のイメージが欲しい場合、同アプリを使うことで音のイメージがつかめるという。「実用的な場面で使ってもらえるのでは。最近は海外でも話題になっている」と勝田さん。
20日の発表後、「ツイッターなどでの反響がすごかった」という同アプリ。発売初日にはApp Storeの有料アプリ部門の総合で5位になった。勝田さんは「今後は改良、バージョンアップを行うほか、アンドロイドへの対応も視野に入れていく。このアプリを使ってもらうことによって音楽が好きな人が広がってほしい」と話す。
価格は350円。