浜松・天竜の徳川信康(のぶやす)顕彰会「信康の会」(浜松市天竜区山東、TEL 053-925-6178)が1月15日、マスコットキャラ「信康さん」をお披露目した。
徳川家康の長男である信康は、21歳の時に謀反の疑いをかけられ二俣城で自害。悲劇の武将である信康を広く知ってもらうため43年前に同会が立ち上がったが、会員の高齢化と会員数の減少が理由で一時消滅。しかし、「歴史的にも重要な信康を広く知ってもらいたい」という思いから、現会長の大村邦男さんが中心となり、5年前に復活した。
マスコットキャラが生まれたきっかけは「ゆるキャラブーム」。ブームの中で「信康のゆるキャラを作りたい」という申し出が多数届いたが、具体的なイメージが無かったため話が進むことはなかった。そうした中、「元左官屋で手先の器用な同会役員太田均さんなら作れるのでは」という話になり制作を依頼。紙粘土と和紙を素材に1カ月の時間をかけ、面を完成させた。「初めてのことなので試行錯誤して作った。出来具合は50点」と太田さん。現在は、靴や刀などの装飾品や、木の信康像の制作も進めているという。
実は、ゆるキャラではなかった「信康さん」。若いころから勇猛果敢で、武功も多く上げた信康のりりしさをイメージして作ったマスコットキャラで、同会ではゆるキャラとしては位置付けていないという。「重い歴史背景を持った信康に、ゆるキャラは失礼だと思った。ちまたでは、『ゆるくない、ゆるキャラ』と言われていることも知っているが、ゆるキャラではないので仕方がない」と大村さん。
今後の活動は、2月3日に行われる俣城跡入り口に設置される石柱の除幕式や、家康400回忌に合わせたイベントなどを予定。浜松市の人気ゆるキャラ「出世大名家康くん」の応援も検討中。
「浜松市長が二俣城を復元してくれるような刺激を信康さんが与えてくれれば」と大村さん。「マスコットキャラをきっかけに、徳川信康を知りたいという人が増えれば、なおうれしい」とも。