平野美術館(浜松市中区元浜町、TEL 053-474-0811)で現在、特別展「戦国婆娑羅(バサラ) 武士たちの美意識」が開催されている。
婆娑羅(ばさら)とはサンスクリット語で「金剛石(ダイヤモンド)」を意味し、最も硬いものとして、全てのものを粉々に砕くイメージを伴い、戦国の世を生き抜いた武士(もののふ)たちの美意識にも通じるという。「戦国婆娑羅」とも言える武士たちが持つ強固な信念が、死と隣り合わせの戦国の世を生きる者としての時代精神を生み、その意識が表されるのが戦闘時に着用する防具の甲冑(かっちゅう)。
同展では、井伊直虎や前田慶次、武田勝頼、上杉景勝、伊達政宗などの甲冑を通じ、実用の美と対極にある武士の美意識に迫る。さらに家康が13歳のよろい着初めに着用したと伝わる腹巻き2領を初めて同時展示。合わせて家康や信玄などの歴史的価値の高い文書の判物(はんもつ)やびょうぶなども並ぶ。
参考出品として浮世絵師の歌川国芳、歌川国政が描いた戦国武将の錦絵も数多く展示。西は京都井伊美術館から、北は山形・米沢市上杉博物館まで、全国から幅広い協力を得て開催しているという。元奈良県立美術館館長の宮崎隆旨さんが監修。10月8日の開幕日から年齢性別を問わず、多くの来館者が訪れ、宮崎さんによる詳しい解説文も好評を得ているという。
「出世城とも言われる家康ゆかりの浜松城も近くにあるので、中小企業のビジネスマンの方々にもぜひ、足を運んでいただきたい」と主任学芸員の杉山知太郎さん。「歴史の勉強の一つとして小学生から高校生たちにも来てもらえたらたら」とも。
開館時間は10時~17時。料金は、大人=800円、高校生・中学生=300円、小学生=200円、土曜・日曜に限り、中学生・小学生無料。11月13日まで。