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浜松・於呂のラーメン店が5周年 客の笑顔を描く、地元から愛される店目指し

店主の但田哲郎さん

店主の但田哲郎さん

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 ラーメン店「僕家のらーめん おえかき」(浜松市浜北区於呂、TEL 053-588-3030)が5月26日、5周年を迎えた。

フラットにしたカウンターテーブル

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 店主の但田哲郎さんは奈良県出身。約15年前に転勤で浜松に移り住んだ。以前よりボランティアの機会があれば参加していた但田さん。東日本大震災の際も岩手県の大船渡町でボランティアに参加。そこで東京のラーメン店が振る舞うラーメンを食べた被災者が笑顔になる姿を見て、「自分も人を笑顔にできるラーメン店をやりたい」と思った但田さん。浜松に戻り、妻の後押しを受け、関西の有名ラーメン店に弟子入りを志願。最初は断られたが店主から「ラーメン学校に行ったらどうか」というアドバイスを受け、ラーメン学校に通った。卒業後、再び弟子入りを志願し、「製麺からスープまで、一杯のラーメンをおいしく作る技術は教わったが、毎日何百杯もラーメンを作る事はできない。その技術を教えてほしい」と伝えたところ、弟子入りを認めてもらった。その後、1年間修業。浜松の人や地域性が好きだった但田さんは、関西の味を持ち帰り、浜松で開業した。

 開業当初からスープや麺、トッピングなど全て手作りにこだわる同店。朝5時から麺打ちを始め、昼の営業後にスープ作り、その他のさまざまな仕込みを含めると夜中の2時になることもあった。手作りにこだわる半面、過労で体調を崩し入院してしまったこともあるという。「関西の味だったが、作れば作るだけ客が来てくれた。客に支えられてきた」と但田さん。店を初めて半年で食べログで4.02の評価を得ることができ、全国のラーメン店で13位、県内の飲食店では1位になった。県外からの客も増え行列ができるほどになったが、浜松の人に愛されるラーメン店にしたいという考えとは違ってきてしまったことに気づいた但田さん。それまで店の評価を上げるためにラヲタと呼ばれるラーメン愛好家に向けて情報を発信していたが、一切やめ、マスコミなどの取材も断る形にした。そのかいあってか徐々に県外の客は減少。反対に地元の常連が増えたという。

 昨年10月には初めて三浦さんという弟子を採った。はじめは弟子を断ったが、熱意を持った三浦さんに共感。その後も菅井さん、佐野さんという2人が弟子入りし、現在では弟子中心とした営業展開。一番弟子の三浦さんを店長代理におき、別暖簾「らくがき」で店を営業。「おえかき」の店名は但田さんが店に立つときだけ掲げる。現在但田さんは弟子のために2号店を考え動いているという。

 ラーメンは2種類を軸に展開。豚メインの清湯(ちんたん)スープの「豚うるわしらーめん」(750円)は野菜をあめ色になるまで香ばしく炒め、コンソメチックな塩味。泡系ラーメン「濃厚ふわとろラーメン」(950円)は豚骨スープとムール貝を合わせたラーメン。修業先の師匠が考案したジャンルで、ハンドミキサーで泡立てて仕上げる。メニュー表には載せない裏メニューでつけめんも用意。「濃厚ふわとろラーメン」をベースに洋風にアレンジしたスープだという。「すべてにこだわることが当たり前」と但田さん。素材や調理にはこだわり、できるだけ地元のものを使う。麺ソムリエの資格を持つ但田さんは特に麺にはこだわり、加水率50パーセント以上にすることで、もちもちとした食感の麺に仕上げる。パンに使う北海道産小麦を使うため、麺は小麦の香りが良いという。ラーメンだけでなく、接客にもこだわる但田さん。店内はアトリエをイメージして作った。カウンターはあえて段差をつけてフラットにすることで、厨房を見やすくした設計。券売機を設けず水も店員が提供し、客との距離感を縮めた接客にこだわる。

 今後について「現在、弟子たちのために2号店、3号店の展開も考えている。弟子たちが巣立っていったら、また当店に一人で立ち、『おえかき』で営業していく」と但田さん。「5年間続けることができ、地域では中堅のラーメン店になってきた。地元のラーメン店とのつながりを強く持ち、みなさんが喜んでくれるようなイベントを開催していきたい。地元のラーメン熱を盛り上げていけたら」と意気込む。

 営業時間は、6時30分~9時、11時~20時30分。

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