「中部日本プラスチック」(東区大瀬町、TEL 053-433-1933)が、全国の福祉現場にマスクを届ける「おすそわけしマスク」プロジェクトを立ち上げた。
プラスチック原料の輸出入やリサイクルなどを行っている同社。不織布マスクの原料が、ポリプロピレンであることから、そのつながりで質の良いマスクを知り、品薄だった2月に「日本が大変だから」と台湾のパートナー企業からマスクが送られてきた。当時、多くの人がマスク不足に悩んでいたことから、輸入を開始。本当に困っているところに届けるためにはどうしたらいいかを検討した結果、福祉現場にマスクを届けるための仕組み作りをしていた「#福祉現場にもマスクを」を紹介され、共同でプロジェクトを立ち上げた。
マスクを希望する福祉施設を募り、寄付として集まったマスクを届ける同プロジェクト。55枚のマスクを購入し、そのうちの5枚を寄付できる「おすそわけしマスク」(2,722円)を販売。5月11日に始動し、これまでに842施設、359650枚(6月4日時点)のマスクを届けた。5月になったころから、マスクが入手しやすくなったこともあり、全部を寄付したいという声が聞かれるようになったため、すべてのマスクを寄付に充てる「全部おすそわけマスク」(2,475円)も登場した。
「福祉現場は、医療現場と比べ目が向けられにくく、マスクが必要だと言いにくい状況にある」と新規事業開拓部課長の太田久美子さん。障がい者や高齢者がいる施設では、離れて世話をするのが難しく、気が高ぶったときには抱きしめるなど、3密を避けられない現状がある。
市内では、22の施設に大人用9900枚、子ども用300枚を配布済み。ウェル恵明会(中区連尺町)が運営する高齢者向け施設「るぴなすコート」(東区積志町)と放課後デイサービス「るぴなすスクール駒場」(磐田市駒場)にそれぞれ500枚を寄付。「福祉現場は3密を避けられず、体調が良くないスタッフは出社させないため人手不足で現場を回すのも大変な状況。福祉現場を支えようとサポートしてくれるのはありがたい」と喜びの声が届いた。現在も市内での問い合わせは20件ほどあり、緊急度合いに合わせてマスクを届けていく予定。
浜松磐田信用金庫が、地元の福祉現場に届けてほしいと1万枚のマスクを寄付するなど、同プロジェクトに賛同してくれる企業が徐々に増えてきてはいるが、「福祉現場の状況は実際に接する機会がないと分からないと思う。問い合わせが多く、寄付するマスクはまだまだ足りていない」と太田さん。「福祉現場を支えるため、より多くの人や企業、団体に賛同してもらい、協力してもらえたらうれしい」と呼び掛ける。