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三ヶ日の長坂養蜂場が85周年 初代の思い引継ぎ蜂蜜のある暮らし届けたいと

多くの人の来店を期待する、長坂養蜂場のスタッフ

多くの人の来店を期待する、長坂養蜂場のスタッフ

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 はちみつ専門店「長坂養蜂場」(北区三ケ日町下尾奈、TEL 053-524-1183)が10月、創業85周年を迎えた。

 8人兄弟の末っ子で、小さいころから体が弱かったという初代社長の長坂喜平さん。父親が趣味で蜂蜜採取をしており、その蜂蜜で体調が回復したことがきっかけでミツバチを飼育し養蜂業をはじめた。同地域は、三ケ日ミカンの花が蜜源となり、温暖な気候でミツバチ養蜂に適していたことから、当時は蜂蜜を採取して問屋に卸していたという。1968(昭和43)年には当時皇太子だった上皇陛下とその家族が浜名湖に滞在した際、三ケ日ミカン蜂蜜を献上。1985(昭和60)年に長坂光男さんが2代目として社長に就任し、あめ職人と一緒に約2年かけてハチミツあめを加工食品の第一号として完成させた。これをきっかけに、加工品の製造と販売が増えていき、2001(平成13)年に、現在の場所に店舗を移転した。

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 現在の社長である長坂善人さんは、約2年半養蜂会社で修業後に同社に入社。当初は、「お客さま第一」を掲げ、売り上げも伸びていたが、忙しさやスタッフに求めるレベルが高くなり、先代や先輩への感謝の気持ちが足りず、社内が疲弊していたという。そんな時、坂本光司氏の著書「日本で一番大切にしたい会社」の働く人やその家族を大切にするという考えに共感。経営理念を見直し、「ぬくもりのある会社をつくりましょう」を掲げ、社内を改革。スタッフを大切にし、思いやりを持って接し、相手の成長を願うことを行ったところ、徐々に空気が変わり、スタッフが自主的に考えて行動するように変わっていったという。こうした取り組みが、街や来店した人を大切にするということに広がっていった。2019年には「日本でいちばん大切にしたい会社大賞 審査委員会特別賞」を受賞。「会社だけでも個人でもなく、社員の人たちと頑張ってきたことへの評価だと思うのでとてもうれしい」と長坂さんは話す。食育を通して自然の大切さや感謝の気持ちを知ってもらいたいと、夏には子どもたち向けに蜂蜜教室を行い、店に置いてあるガチャガチャ景品の売上金を東日本大震災の支援に使ういった取り組みも行っている。

 蜂蜜をメインに、加工品などもそろえる同店。ミカンとアカシアの蜂蜜をミックスした「二代目の蜂蜜」(200グラム=750円~)や、三ケ日ミカンだけから採った限定商品「国産三ケ日みかん蜂蜜」(200グラム=1,540円~)、北海道のボダイジュから採れた「国産ぼだいじゅ蜂蜜」(200グラム=1,280円~)などを用意。蜂蜜を使った加工品として、蜂蜜とマーガリンを合わせた「はちみつ&マーガリン」(680円)や、二代目の蜂蜜が入った「はちみつとろり飴(あめ)」(630円)などをそろえる。ほかにも「やさしいはちみつハンドクリーム」(1,380円)などの化粧品や、「ぶんぶんストラップ」(500円)などのグッズも用意。創業85周年感謝祭では、10月25日まで新商品の「はちみつバター」や「マヌカハニーとろり飴」などを感謝価格で提供している。

 新型コロナウイルスの対策として、スタッフは検温、手指消毒、マスク着用を徹底。来店客にも、検温、手指消毒、マスク着用をお願いしている。カウンターには飛沫防止用の透明シートを設置。空気清浄機を置き、窓を開けて換気を行い、カゴなども定期的に消毒清掃している。密を避けるため、ほしい商品のアンケートで毎回1位を獲得する人気の「はちみつソフトクリーム」(400円)の販売は現在平日のみとなっている。

 「初代が信用と信頼を築き、2代目が加工や販売の土台を作ってくれて今がある。初代が大切にしてきた『感謝、報恩、三方よし』を常に振り返り、自分たちだけでなく地域の人や被災地の人などのことも思ってこれからもやっていきたい」と長坂さん。「実店舗でもウェブであっても、蜂蜜のある暮らしを届けて蜂蜜のある幸せを感じてもらいたい」とも。

 営業時間は9時30分~17時30分。第2火曜、水曜定休。

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