和食店「旬彩香炉」(浜松市中区東伊場2、TEL 053-451-0805)が10月24日、開店20周年を迎えた。
オーナーの新村修さんはいつか自分の店が持ちたいと思い、高校卒業後、すし店で3年、街中の飲食店で8年働いた後、2000(平成12)年に同店を開いた。当初は、当時多かった靴を脱いでげた箱にいれるスタイルの店内だったが、時代に合わせてこれまで2度の改装を行った。オープンして8年目に、座りやすさを考え座敷を掘りごたつに改装。靴を脱ぐことに抵抗があるという意見も増えたことから、2017(平成29)年にはテーブルと椅子席に変更。「車いすで利用できるか」という問い合わせがしばしばあったこともあり、玄関からトイレまで車いすで入れるようバリアフリーとした。
オープン当初は、リーズナブルな価格で居酒屋らしい料理を提供していた同店。来店する人も若い人が多く、家族連れも多かったという。オープンして3年ほどたった時には、浜名湖花博の開催のために浜松を訪れていた運営のスタッフたちが、連日のように飲みに来てくれることもあった。順風満帆に見えたが、リーマンショックの際に客足が遠のき、何かを極めなければいけないと感じた新村さん。今までのメニューを全てやめ、日本各地から厳選した食材を集めた和食メニューに一新。2013(平成25)年からは、料理の味を楽しんでもらいたいと考え、店内を禁煙としている。
店の売りを作りたいと考え、必要な資格や免許を取得し、4年ほど前から自分で鴨(かも)を狩り、さばいたジビエの提供をスタート。注文した人が炭で焼いて食べる「鴨の炭焼き」(6,000円)を提供。ほかにも、伊良湖や舞阪などで仕入れた天然物のフグは、刺し身や唐揚げ(以上2,500円)で提供する。定期的に伊良湖に出向き、要望があればイセエビやアワビなども仕入れる。熊本の牧草牛、赤牛はヒレ肉(4,000円)、サーロイン(3,000円)などをそろえる。天ぷらは、食べたいものだけを注文できるよう、1個からの注文に対応する(価格は全て税別)。
新型コロナウイルス対策として、スタッフはマスク着用、手指消毒を徹底。各テーブルに手指用の消毒を置き、カウンターにはパーティションを設置。空気清浄機や換気扇を4つ回し、常に換気を行っている。来店者が多い場合は入場制限も行い、10人から貸し切り対応する。
現在、夫婦2人で店を切り盛りしている新村さん。これまで何度も常連さんから結婚報告を受け、結婚式に招待されることも多くあり、地方出身の学生から「浜松のお父さん、お母さん」と慕われることもあったという。「人同士の付き合いを大事にし、来店してくれる人の記念日も大切にすることを心掛けてきた」と新村さん。「ここまでこられたのは、周りの人に恵まれたからこそ。これからも居心地の良さは変わらず、いい食材を楽しんでもらえるよう地道にやっていきたい」とも。
営業時間は18時~23時。月曜定休。