浜松商工会議所(浜松市中区東伊場)のエントランスに現在、大河ドラマ「どうする家康」にちなんだ牛乳パック製の甲冑(かっちゅう)が展示されている。
牛乳パック製の甲冑は、長山剛士さん(北区引佐町)の手作り。大河ドラマ「おんな城主 直虎」の放送を機に2016(平成28)年から展示してきた長山さんの作品で、浜松市北区出身の武将「井伊直政」の代名詞でもある「井伊の赤備え」からリニューアルした。制作は、現在放映中の大河ドラマ「どうする家康」の舞台が浜松になったタイミングで同会議所が依頼した。
長山さんが甲冑を作るようになったきっかけは、40年以上前、子どもの運動会のために段ボールで作った甲冑の出来がよく、新聞に取り上げられ話題となったことだという。「他校の教員からも作り方を教えてほしいと相談があったことから甲冑作りを研究し始めた」と長山さん。子どもが実際に着ても大丈夫で雨にも強い甲冑を作りたいと、材料は段ボールから牛乳パックに変更した。
「井伊の赤備え」ほか200体以上の甲冑を制作するうちに、いろいろな人が着られるようにとサイズ展開を広げ、井伊家中だけでも足軽から大将まで、幅広い種類を作ったという。長山さんの地元を中心に「井伊谷小学校」「井伊谷宮(いいのやぐう)」「龍潭寺(りょうたんじ)」などで展示したほか寄付も行ってきた。
「井伊の赤備え」からリニューアルした「家康の甲冑」は2体。ドラマにも登場した金色の甲冑「金陀美具足(きんだみぐそく)」は、1560年の桶狭間の戦いで19歳の家康が身に着けたとされるよろい。赤色の甲冑「歯朶具足(しだぐそく)」は、関ケ原の戦いと大坂の陣で使われたという。制作期間は1体につき約1カ月で、それぞれ牛乳パックを約80枚使う。設計図などを用意せずに制作する長山さんは「材料は身の回りの物やホームセンターで調達し、工夫しながら作ってきた。本物に近くなるように心がけている」と話す。丈夫さを維持する工夫では、両面テープを接着剤として使い、色落ちしないようにガムテープやビニールテープで色を付ける。
長山さんは「80歳を過ぎて今後も新作が出せるか分からないが、自信作ができたので、ぜひ見に来てほしい」と話す。
同会議所の開館時間は8時30分~18時。土曜・日曜休館。12月末まで展示予定。