染色加工会社「武藤染工」(浜松市中区茄子町)が8月11日、染色体験キット「はさんで染める△(さんかく)ふじさん」を発売した。
1961(昭和36)年に創業し、浴衣や手拭いなどの注染から各種染色加工まで展開する同社。注染とは、やかんに入れた染料を生地に注ぐ日本独自の染色技法で、にじみやぼかしが特徴。同社では注染など伝統的な染色加工技術の継承に取り組む中、手仕事の素晴らしさや伝統技術を広く知ってもらいたいと子ども向けの染色体験を開催してきた。
体験が家庭でも行えたら染めについて多くの人に知ってもらえると考え、同商品を企画。社長の武藤真和さんは「現場の工場見学や職人が行うような染色体験を提供したかったが、安全性や準備の面で苦戦していた。このキットなら気軽に染めに親しんでもらえる」と話す。
体験キットは、青色に染める「ハンカチセット」、ピンク色に染める「手ぬぐいセット」の2種類を用意。布を三角形に折り畳んでアクリル板に挟み、染料液に立てて浸す際に布が下から染料を吸っていく過程が「富士山」のような姿になる。水洗いして干したらオリジナルデザインの布が完成。30分から1時間程度で行えるという。
キット内のアクリル板は、飛沫(ひまつ)感染予防のために設置されたパーテーションを再利用。完成したキットをより良くしたいと、地元デザイナー榊原絵里奈さんやテキスタイルアーティストの桂川美帆さんがパッケージデザインや商品名の考案に協力した。
2回目以降も染色体験が行えるように「追加キット」を用意。ハンカチもしくは手拭いと5 色から選べる染料をセットする。武藤さんは「2回目に他の色で染めるのはもちろん、追加キットを利用して家族で楽しんでもらえたら」と話す。
「自分の手で世界に一つだけのハンカチや手拭いを作る体験をしてもらいたい。夏休みの自由研究にもおすすめ」と武藤さん。「このキットをきっかけに染色や織物に興味を持ち、職人にチャレンジする人が誕生したらうれしい」と話す。
価格は、「ハンカチセット」「手ぬぐいセット」=各1,980円、「追加キット」=880円。浜松科学館みらい~ら(中区北寺島町)、STEP 楽しい工作ガレージ(中区葵西)、浜松まつり会館(南区中田島町)、磐田市新造形創造館(磐田市上新屋)、オンラインショップ「Creema(クリーマ)」で販売する。