ソースメーカー「鳥居食品」が運営する定食店「トリイ食堂」(浜松市中央区相生町、TEL 053-443-8145)が11月21日、オープンした。
鳥居食品は、1924(大正13)年創業の老舗ソースメーカー。国産野菜を使い、独自製法の「木桶(おけ)熟成」でソースを製造・販売する。社長の鳥居大資さんによると、ウスターソース発祥の地イギリスでは、ソースを料理の隠し味として使ってきた歴史があるという。同社ではホームページで応用レシピを紹介してきたが、「隠し味」としての魅力を家庭で実感してもらう難しさを感じてきたという。ソースの可能性を直接体感できる場が必要と考え、食堂の構想を10年近く温めてきた鳥居社長。工場に隣接する立地を選び、今回のオープンに踏み切った。「料理にそのままかけるだけではない、ソースの可能性を広げたい」と話す。
店の料理は、同社で酢の発酵を担当し、飲食店経営の経験を持つ今津亮さんが監修する。店内は白を基調に木を使ったシンプルなデザインでまとめた。テーブル席は20席。明るく落ち着いた雰囲気に仕上げた空間で食事を楽しめる。営業はランチタイムのみで、完全予約制とした。
メニューは月替わりの定食を用意する。メインは肉または魚から選び、副菜、ごはん、みそ汁、デザートをセットにする。「お肉の定食 手ごねハンバーグ」(1,800円)は、赤みの多い合い挽き肉を使い、家庭のフライパンで蒸し焼きにしたような味わいで、手ごねならではの食感を楽しめるという。「お魚の定食 カレイのウスターソース煮付」(1,800円)は、スパイスが魚の臭みを抑え、あっさりとした風味に仕上げた煮付け。いずれも季節の蒸し野菜を添えて提供する。
副菜は「みかんポン酢」を使った「ポン酢もやしのナムル」や、「ウスターソースひじき」などをそろえる。デザートも月替わりで、「スパイス香る昔ながらのプリン」は固めの食感に仕上げた「昔懐かしい」カラメル風味のプリン。ソースの熟成工程で使う香辛料を隠し味に使ったスパイシーな後味が特徴。
鳥居社長は「長年の夢だった『ソース屋がつくる食堂』をようやく形にできた。お客さまとの接点を持つことで、さらなる可能性が広がる。飲食店の運営は初めてで不慣れな部分もあるが、新しい挑戦を応援してもらえたら」と話す。
営業時間は、一部11時~、二部12時30分~の2部制。各回80分。日曜・月曜定休。一部で食事した人のみ、事前予約で工場見学ツアーに参加できる(500円)。