浜松の老舗ソースメーカー「鳥居食品」(浜松市中区相生、TEL 053-461-1575)が12月5日、今年に自社開発できた最良のソース「The Sauce 2012」を100本限定で発売した。
同商品の開発は昨年に続き2年目。初年度は「砂糖を使わず野菜果物の甘みで作るソース」のコンセプトで開発し、100本限定で発売したところ2日間で完売した。
今年のコンセプトは「震災から考える半径50キロ内で手に入れた原料のソース」で、同社を中心に50キロ圏内で材料をそろえた。社長の鳥居大資さんは「東日本大震災やタイの大洪水を受け、サプライチェーンの断絶を経験した。今年はサプライチェーンを見つめ直すと同時にいつでも最高のソースを消費者に届けることができるのか挑戦したかった」と話す。
素材は静岡県産トマト「アメーラ」、浜松産の黒ニンニク、三ケ日ミカンを糖度60度まで濃縮した果汁など、採算にとらわれずこだわりの地元食材を使っている。
半径50キロ内というコンセプトの中で調達に苦労したのは調味料。通常同社では砂糖は種子島の粗糖を使っている。現地で砂糖を精製しているところはあるが、製造量が少なく商品として使うのは困難だったため、今回は地元でウナギの加工で出た残りかすを肥料に使ったサツマイモ「うなぎいも」の酵素を用いて糖化し、甘みを加えた。「サツマイモを使ったことで上品な和菓子のような甘さを加えることができた」と鳥居さん。
塩分は焼津の海洋深層水と浜名湖のシラスを釜揚げした時の煮汁を使いシラスのうま味をソースに加えた。
「強い調味料を使わなかったことで逆に食材の味を引き立てる優しい味わいのソースになってくれた」と鳥居さん。「地元の食材だけでも最高のソースが作れることを同時に証明することができて良かった」とも。
価格は4,000円(720ミリリットル)。同社オンラインショップのみで扱う。