● 三生医薬株式会社(本社:静岡県富士市、代表取締役社長:今村 朗)は、当社が製造したシームレスカプセル(※1)を組み込んだアイマスク製品がJAXA(国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構)の「きぼう」有償利用制度を活用し、国際宇宙ステーション(ISS)への搭載品として決定したことをお知らせいたします。
● この製品は、精油を閉じ込めた“香るカプセル”と吸湿発熱素材を組み合わせた新しいリラクゼーション体験を提供するアイマスクで、宇宙飛行士のパフォーマンスや地上の暮らしの向上を目的に開発されたものです。
● 早ければ2025年夏頃にも日本実験棟「きぼう」にて日本人クルーが本製品を使用する予定です。
■ 共同開発の背景とプロジェクトの意義
本プロジェクトは、「宇宙と地上、双方の暮らしをより良くする」ことを目的とした新たな事業創出を促進する「Think Space Life アクセラレータ・プログラム2021」(「THINK SPACE LIFE」プラットフォームの運営は2024年4月1日よりNPO法人ミラツクに移行)を通じて、株式会社ニトリ、株式会社 IRiS Tokyo、三生医薬株式会社の3社が連携し、実現しました。
宇宙飛行士が長期滞在中に直面する「睡眠」「リラックス」「匂い」などの課題に着目し、“香りと温もりで整える” 新しい入眠体験を宇宙空間で提供するために、各社の技術と知見を結集し、香るカプセルを組み込んだアイマスク製品を開発しました。
宇宙ミッション(イメージ)
今回の取り組みでは、JAXAの「きぼう」有償利用制度を活用し、地上と宇宙の双方の生活を豊かにすることを目指します。
■ “香るカプセル”と吸湿発熱素材
本製品で使用される“香るカプセル”は、IRiS Tokyoが設計した天然精油ブレンドを、三生医薬が開発した高密封シームレスカプセル(※1)に封入したものです。このカプセルはフェルト部材に組み込まれ、香りの鮮度を長期間保ちます。使用者が好きなタイミングでカプセルを指でプチっと潰すだけで、森林浴を想起させる香りがふわりと広がります。
さらに、ニトリの吸湿発熱素材「N-ウォーム」を用いたアイマスクに装填できるようにすることで、香りと温もりが調和し、心地よい入眠体験を提供できます。
宇宙飛行士が香りカプセルを潰す(イメージ)
カプセルに封入された香り(イメージ)
■ 宇宙という極限環境への挑戦
宇宙空間で使用される製品には、地上の製品に比べて極めて高い安全性・安定性・耐久性が求められます。
今回の宇宙ミッションにあたっては、精油という揮発性成分を含む液体を安全かつ確実に使用できる構造を実現するために、素材選定・製剤設計・構造検証など、あらゆる側面からの検討が重ねられ、搭載に必要な安全審査が行われました。その結果、JAXAの「きぼう」有償利用制度では初めて「精油を封入したカプセルによる香りの提供」という仕組みが、宇宙で使用されることとなります。
本プロジェクトは、地上と宇宙の双方の生活を豊かにするという新たな価値創出に向けた、先進的な挑戦です。
■ 今後の展望
今回の取り組みは、三生医薬がこれまで健康食品・サプリメントのOEMで培ってきた製剤技術を、宇宙という極限環境で応用する初の試みです。宇宙ミッションの経験をもとに、“香るカプセル”の設計・製造ノウハウに磨きをかけるとともに、「香り」「リラックス」などをテーマとした地上向け製品への更なる応用展開も進めてまいります。
また、今回、宇宙に向けて打ち上げられる“香るカプセル入りアイマスク”の市販化も検討中であり、販売パートナー企業さまを募集しています。あわせて、“香るカプセル”の技術を活用した新商品開発に関心のある企業さまからのご相談も歓迎しております。
■ プロジェクト責任者コメント
三生医薬株式会社
研究開発本部 新規用途開発部 部長 福田 光弘
「宇宙空間の微小重力下でも、カプセルによって液体の精油を安全かつ簡便に取り扱える。この仕組みを構築することが、今回のプロジェクトの核心でした。
高密封カプセルの製剤化から、安全審査対応、安全保障輸出管理に至るまで、当社にとって前例のない挑戦でしたが、それを一つずつ乗り越えた経験は、今後の技術応用にも大きく活きてくると確信しています。
今後は、この技術を宇宙のみならず、地上での製品に幅広く応用し、“香るカプセル”を通じた新たな価値づくりをパートナー企業の皆さまとともに推進してまいります。」