浜松・細江の水田で5月12日、ウナギの残りかすを肥料に使って作る「うなぎ米」の田植えが行われた。生産するのは「うなぎ米プロジェクト」。
同プロジェクトは、市内のウナギテークアウト専門店を営む「うなぎの井口」(浜松市浜北区平口)と農業を営む「アグリ・ルネッサンス」(南区松島)による共同プロジェクト。ウナギの稚魚が不漁の昨今、地域資源としてウナギを有効活用したいという考えから発足。昨年はウナギの残りかすを肥料にしたニンニク「うなにんにく」の栽培を行った。
今回栽培する水田は、かつて川魚やウナギの稚魚が生息していた水田で、「水田鑑定士」の鑑定により「生物判定特A」「水質判定特A」の評価を得ており、2年前の鑑定の際には実際にウナギの稚魚の生息が確認された。広さは約300坪で、460キログラムの収穫を予定する。使用する肥料は、ウナギの頭や魚のアラ、カニなどの魚介類を混ぜた有機JAS規格の適合肥料。栽培する米は特別栽培米の「細江まいひめ」という地元のブランド米で、生産は北区でレストラン「とんきい」を営み、同プロジェクトに共同参加している鈴木芳雄さんが行う。
栽培された米は通常販売するほか、イベントなどに出店する際の「うなぎ弁当」のご飯として使うほか、新商品の開発も検討。現在商標出願中の「うなぎ米」の名前で取り扱う予定。
9月に収穫を予定している同品。「この事業を通じて日本の食文化であるウナギを後生に伝えていきたい」と「うなぎの井口」店主の井口恵丞(けいすけ)さん。「これから収穫までの間にいろいろな形でPRし、『うなぎ米』の存在を多くの方に知ってほしい」とも。