浜松の徳川家康縁の地や祭りを紹介するフリーペーパー「浜松鈴鈴(はままつりんりん)」の第2号が9月17日、発行された。
「市民が浜松の歴史や文化を知って、もっと浜松を好きになること」を目的に創刊された同紙。静岡大学情報学部の杉山岳弘研究室を中心とした7人の学生が作成している。今年の4月から活動を始め、「いにしえと今をつなげる、浜松ふるさと大好きメディア」というコンセプトで7月に第1号を刊行。奇数月に発行し、浜松市役所をはじめとする市関連施設や浜松商工会議所、浜松観光コンベンションビューローで配布。ウェブサイトでは、最新号やバックナンバーだけでなく、取材先で撮影した写真や動画を公開している。
今年3月まで浜松商工会議所と連携し、徳川家康公顕彰四百年記念事業の一環として「闘将家康かわら版」というフリーペーパーを作成していた同研究室。「浜松鈴鈴」は「闘将家康かわら版」を引き継ぎ、徳川家康と縁のある土地やエピソードの紹介に加え、市内の祭りを紹介する。
同号では、「ちょっとホラーなお話2本立て!」をテーマに、家康縁の地として太刀洗池と片身の池を紹介する。太刀洗池は、家康の妻、築山御前の首を斬った刀を洗ったことからその名で呼ばれるようになった池。片身の池は、家康が半分食べたスズキを池に放したところ、片身になりながらもそのスズキがそのまま泳いで行き、佐鳴湖の主になったという伝説に由来する。記事では、それぞれの現在の様子や関連エピソードを紹介。ほかにも遠州大念仏の記事を掲載し、7月15日に中区鹿谷町の犀ヶ崖資料館で行われた念仏の様子を犀ヶ崖の伝説と共に紹介している。
記事は全て学生が現地へ赴き取材。祭り関係者の連絡先が分からず、事前にアポイントメントが取れないときには、飛び込みで取材をすることもあったという。メンバーには、文章執筆の初心者も多い。取材したことをうまく表現できないこともあるが、より良い記事にするために、メンバー同士で添削をし合ったり、興味を持ってもらえる文章にするにはどうすれば良いかアイデアを出し合ったりしているという。表紙のデザインや記事のレイアウトも、全て学生が一から作成した。
「浜松市で生まれ育ったが、この活動を通して新たに知ることが多く、大変勉強になっている」と編集員の西尾美沙季さん。多くの人に手に取ってもらえるよう、魅力的なデザインにするために、全員で意見を出し合い、何度も修正を加え、時間を掛けてこだわって作成しているという。編集長の野口菜摘さんは「浜松に住む人たちにもっと浜松を好きになってもらいたいという思いを込めて作成しているので、多くの方に読んでもらいたい」と呼び掛ける。