浜松・肴町の万年筆専門店「BUNGBOX（ブングボックス）」（浜松市中区肴町、TEL 053-415-8639）が8月10日、オリジナル万年筆「Piano Mahogany（ピアノマホガニー）」の先行予約受け付けを始めた。

　ピアノをモチーフとした同商品。店主の山岸薫さんは「浜松らしい万年筆を作り、街を盛り上げていきたい」という考えがあった。浜松にたくさんのメーカーがある楽器にちなんだ商品を考えていたところ、幼少期に憧れていたマホガニー材でできたグランドピアノを思い出し、それをモチーフとした万年筆を作ることにした。

　限定20本の販売となる同商品。構想から商品の完成まで約3年の歳月を費やした。マホガニー材は実際に使用されるピアノの木材を取り扱っている業者から仕入れ、ピアノのようなつやを出すため大手ピアノメーカーで塗装職人をしていた方の監修の下、作られた。「ピアノと違い万年筆は球面になっているため、ワックスで磨き上げる作業にも苦労した」と山岸さん。試作の段階では塗料の厚みでキャップが閉まらないなどのアクシデントも発生し、解消できるまでに1年以上を費やすことになったという。

　ペン先はあえてコーティングせず素金本来の色を使い落ち着いた輝きを意識。キャップリングにはピアノの鍵盤をデザインした素掘り彫刻を施すことでピアノらしさを際立たせている。ワックスとネル布が付属されており、ピアノ同様ボディーを磨いて手入れすることができる。

　パッケージには厚紙に布などを貼り付け作る「カルトナージュ」というフランス伝統の手芸を採用。裏布の一部には地元産の遠州綿紬（めんつむぎ）を使い浜松らしさを演出。鍵盤のふたをイメージし、片側が開閉するような仕組みになっており、マグネット式の留め金部分にはトーン記号のマークを付けるなど細部にまでこだわった。

　「3年という長い年月をかけやっと販売までたどり着いた商品」と山岸さん。「万年筆ファンだけでなくピアノを演奏される方や、広く楽器を愛する方たちにもぜひお持ちいただきたい」とも。

　価格は19万9,800円。商品入荷は9月27日を予定する。営業時間は13時～18時（金曜・土曜は11時～19時、日曜・祝日は11時～18時）。水曜定休。