「クリエート浜松」(浜松市中区早馬町)で9月17日、井伊家の筆頭家老として仕えたとされる小野政次の子孫にによる講演会「ふる里を訪ねて」を開催する。
井伊家は、桶狭間の戦いで井伊家の主家にあたる今川氏が大敗した後、井伊直親が当主となる。小野政次と井伊直親は親同士が不仲だったことから、井伊谷を横領しようと画策していた。小野政次は今川氏真に「井伊直親が織田・徳川氏に内通し、今川氏に謀反をたくらんでいる」と偽りの密告をする。このことから小野政次は裏切り者の悪者として扱われている。
主催者の藤森里美さんは、小野政次の父・小野政直の15代目の子孫。政次の家系は途絶えている。歴史が好きで約6年前から親戚や図書館などを巡り、小野家文献や資料を調べた。「井伊家伝記」や「引佐町史」によると、政次は裏切り者として扱われているが、図書館の文献や「井の国物語」、一族に伝わる話の中では政次のことを忠臣として扱っているという。
藤森さんには歴史に埋もれてしまった史実を伝えていきたいという思いがあり、以前から友人に熱弁していたところ、講演会を開いて世に史実を伝えたらどうかと話を持ちかけられた。現在、大河ドラマ「おんな城主 直虎」で政次を演じる高橋一生さんが人気を博していることもあり、この機に小野政次を中心とした講演会の開催を決めた。
講演内容は、大河ドラマでこれまで語られたことがなく、歴史やドラマにも登場しないという、政次の6人の兄弟など、ドラマのストーリーの放映時期や内容に合わせた内容で、政次の活躍したふる里や史跡などをメインに話を展開する。
小野家の先祖が書いた資料や政次を祭神としてまつる二宮神社の神主が残した資料を使って、政次の史実に迫る。パワーポイントで小野家に代々伝わる家系図などを図説し説明。「大河ドラマや他の文献でも政次が悪役として扱われているが、そうでない文献も存在する。一般の人が知らない情報や小野家に残る家系図をもとに事実を世に伝えたい。政次の良い面も知ってもらいたい」と藤森さん。
7月に行った同様の講演会では、初心者から歴史に詳しい人までさまざまな人が参加したという。前回の内容を踏まえ、今回は誰でも楽しめるようにと、語られない歴史を深掘りするだけでなく、みそまんじゅうのような土産物情報や地図を用いた史跡のガイドなど、より楽しめる情報を用意しているという。
藤森さんは「顔の見えるお付き合いをコンセプトに、来てもらった人たちと気持ちを共有したい。講演会を通して直虎や政次がどのようにピンチをチャンスに変えたかを知ってもらい、現代を生きる人の勇気に変えられたら」と話す。
開催時間は9時30分~11時。参加費500円。要事前申し込み。090-4408-7267