特別展「どうぶつ家族たちの物語 はしもとみお木彫り展」が現在、浜松・元浜町の平野美術館(浜松市中区元浜町、TEL 053-474-0811)で開催されている。
兵庫県出身のはしもとみおさんは、15歳のときに阪神淡路大震災を経験。周りにいた犬や猫たちがいなくなってしまい、「生きていた大切な命をずっと残しておきたい」という思いで、肖像彫刻を始めた。2014年にはユニクロのCMに出演し、彫刻家として有名になった。木彫りの動物たちが「生き生きとして今にも動き出しそうだ」と多くの人から注目を浴びるようになったという。
日本画をメインに所蔵することからシニア世代の来場客が多く、若者や子どもたちも楽しめる展示をしたいと考えていた同館。若者の来場者を増やせるように、見て触って楽しむことのできる彫刻を製作するはしもとみおさんの企画展開催を決めた。
作品は約5センチの小さなものから、1メートル以上の大きなものまで約400点を展示。木彫作品だけではなく、動物のスケッチ画などもあり、最後は作品の製作動画も公開している。通路にも作品が展示され、どの作品も写真を取ることができ、触ることもできる。
「ミーヤキャットの音楽隊」や今年製作したばかりの新作「眠り猫」のような、個性あふれる動物たちの家族を表現した作品が多く並ぶ。はしもとさんが飼っている黒柴の「月(つき)くん」の作品や、猫の作品を中心に、ヒツジやヤギ、ラクダ、シマウマなどさまざまな動物の彫刻が並ぶ。
約1.1メートルある同展最大のクマの木彫り作品「シュウ」は、360度どこからでも鑑賞でき、体の至る所にリスやモモンガなどのほかの動物が隠れていて、探して楽しむこともできる。どの作品も彩色が施されていることが特徴で、動物本来の習性を意識し、実際にある動物の風景をイメージして作るという。動物の目には透明水彩やニスを使い、生きているかのようなリアルさを表現する。
開催初日からの3連休は、子連れの家族や若者を中心に女性客も多く来場。子どもを連れて家族で愛知県から来た酒井晶子さんは「はしもとさんのファンで、SNSで同展を知って来た。どの作品も木彫りとは思えないリアルさで、今にも動き出しそうな生命力を感じる。ほかの展示会とは違い、作品に触ることができるので、子どもたちも楽しんでくれた」と話す。
学芸員の松井沙代子さんは「触ってもいい作品が多いことが今回の展示のポイント。作品を触ったり、一緒に写真を撮っていったりする風景をよく見掛ける。どの作品と写真を撮っても絵になると思う」と話す。
開館時間は10時~17時。月曜休館(月曜が祝日の場合には開館、翌日休館)。料金は、一般=500円、中高生=300円、小学生=200円。12月2日まで。