浜松・助信町の木製塗装メーカー「ピアックス」(浜松市中区助信町、TEL 053-471-4825)が11月10日、木製スマホスピーカー&スタンド「COAT&ECHO」の販売を始めた。
家具店やキッチンパネル、スピーカーなどの木工塗装を専門とする同社。リーマン・ショック後、売り上げが落ち、自社製品の開発に乗り出した。今までに、フォトボードや木製の一輪挿しなど塗装を生かした製品を開発。社員が関東の勉強会に参加した際、自社の強みである塗装が音を良くする効果を持っていることを知ったことから、生活に身近なものとしてスマホスピーカースタンドの製品を企画。以前行っていたピアノの鏡面塗装の技術を生かし、高級感のあるスマホスタンドの販売にこぎ着けた。
木製塗装一筋48年の職人で会長の小原敏夫さんが鏡面仕上げを担当。塗装だけで20もの工程があり、鏡のように顔が映り込むほどの透明感のあるつやと輝きになるまで平滑に研ぎ上げる。金属ではなく木材に塗装するため、木材の特徴を把握し、気候や温度条件を加味しなければならず、非常に難しい技術だという。小原さんは浜松ものづくりマイスターの資格を持ち、80種類以上の材種の塗装経験を生かし作り上げる。
製品の大きさは縦280ミリ、横340ミリ。製品のフォルムは緩やかな曲線を描き、スマートフォンを設置する部分を球体から切り出したような張りのある形状に仕上げた。ピアノのペダルをイメージした金色のスタンドの台座で、素材にはピアノの腕木に使われるブナを使う。現在流通するスマホスタンドは縦向きに配置する物が多いが、横向きで動画をフルスクリーンで楽しめるような設計にしている。
電源不要で、形状だけでスマートフォンの音を反響。音が安定するよう、パラボラアンテナのような曲面の形状で、人の声や楽器の音などの中低域を最大15デシベル増大する。動画を再生すると、声や音が前に飛び出てくるような臨場感があるという。全体的な音量の拡張を目的とせず、ボーカル音が聞き取りやすいように、「長い時間聞き続けられる音質」をコンセプトに作り上げた。
「製品を作る上でさまざまな人や企業の協力を得て完成した。この製品を通して、浜松のものづくりの技術の高さを知ってもらいたい」と社長の小原林太郎さん。「全てのものにこだわって作り上げた。このスタンドを使うことで優雅でぜいたくな時間を堪能できるはず」とも。
価格は7万200円。同社ECサイトで販売する。