複合施設「UPCYCLE STUDIO(アップサイクル スタジオ)」(浜松市西区伊左地町、TEL 053-488-5509)が4月13日、浜松・伊左地町にオープンした。
施設責任者の羽広雄太さんは4人の子どもを持つ父親。子どものために古着を購入することが多かったが、肌トラブルで購入した服を着ることができないこともあったという。要らなくなった服を集めてクリーニングし、同等の服と交換する「洗着(せんぎ)」という新しい概念を考えた羽広さん。数年前に出会ったクリーニング店「浜松白洋舎」の社長・杉原徳彦さんのがこの考えに賛同。同社では不要になった服を引き取って海外に送る事業を数年前まで実施していた実績があり「まだ着られるような服をなんとかできないか」と考えていた。2人は「洗着」の新事業を始めようと、事業展開する場所を探していたところ、2年前に閉園した「伊左地保育園」を見つけた。不用品や使われなくなったものを素材として新たなものに作り変える「アップサイクル」をテーマに、思いに賛同した事業主とともに不用品を使って新しい施設へとよみがえらせ、複合施設としてオープンした。
中庭を含めて200坪ある同施設。「アップサイクル」をテーマにしていることから、保育園の姿を残しながら改装。中庭のブランコをテーブルにしたり、ジャングルジムを椅子にしたりと、もともとあった園の素材に新しい命を吹き込んで再利用する。6畳のレンタルスペースには捨てられた街灯で作った照明を設置。絵画教室スペースには要らなくなったロッカーや、コインランドリーのかごを椅子にしたものなど、施設内にさまざまなアップサイクル品が並ぶ。
洗着は、要らなくなった衣服を店頭へ持ち込みクリーニング代を支払うことで、代金と同等の衣類と交換することができるシステム。持ち込んだ衣服は同社でクリーニングされ、汚れやシミを取り除いたきれいな状態で提供される。「子どもの成長に応じて来られなくなった服を交換できる場として利用してもらいたい」と羽広さん。
同施設には洗着事業のほかに、浜北のヨガ店「ayanoha」のヨガスクール、名刺やイラスト制作に対応するデザイン事務所や、額縁職人やふんどしで下着を作る職人の公開アトリエ、鉛筆画で写実的な絵の指導をする絵画教室が入る。絵画教室は美術教員を務めた経験のある羽広さんが指導。花や人物など、好きな写真のベースをトレスし、細部を自分自身で描く。子どもはアニメのキャラクターのような自分の好きなものをモチーフに描く。ほかにもレンタルスペースは1時間1,000円で貸し出し。利用用途は自由で、バーベキューセットや中庭の貸し出しも計画している。5月18日からはオーガニック食品を使ったおにぎり店も入店。自分の好きな食材を選びおにぎりを注文するスタイルで営業するという。
「保育園のおもむきを残したこの場所を自由な発想で使ってほしい」と羽広さん。「アップサイクルは子どもへの教育にもつながると思う。イベントも開催し、食育にも触れていきたい」とも。
開所時間は月曜~金曜=10時~17時。事業ごとに営業時間は異なる。土曜・日曜はおにぎり店開店以降営業予定。