お菓子工房カフェ「つなぎの里 お菓子の森&蔵のカフェ」(浜松市東区和田町、TEL 053-571-5587)が5月18日、浜松・和田町にオープンした。
鈴木瑞江さんが夫の実家にある蔵を改修して作った同店。約500坪の敷地内に4棟の蔵や古民家、日本庭園があったが、母屋以外は長い間使われずに来た。専門家からは価値のあるもので残したほうがいいとアドバイスを受けたが、どう残すべきか分からなかった鈴木さん。自ら古民家鑑定士の資格を取得し、全国古民家再生協会とのつながりができた。鑑定したところ、改修できることがわかり、誰でも集える場所としてカフェの経営を考えた。専門の大工により蔵を改修し、ガーデニングやカフェ経営をする「アイ・アンド・プラス」の協力を得てオープンにこぎ着けた。
店舗面積は約30坪。テーブル30席を用意。蔵は改修時に発見された棟札(むなふだ)から天保3(1832)年のもので、約190年の歴史を持つ蔵であることが判明。傷んだ柱を新しい柱と組み合わせて補強し、伝統工法で柱や梁(はり)などの骨組みをいかしたカフェへと蘇らせた。古い骨組みはそのままの風合いを残し、新しい骨組みはあえて塗装せず新しい存在として残す。「古(いにしえ)と未来をつなぐ」意味をもたせているという。蔵の目の前には、108種類の植物を植えたイングリッシュガーデンを新設。ハーブを育て、カフェのメニューにも利用していくという。
蔵の1階には菓子工房を作り、ケーキや焼き菓子を製造。しっとりとしたスポンジと2種類の生クリームをブレンドした「ショートケーキ」(440円)や、ハーブを使った「生チョコのタルト」(480円)、2種類の濃厚なクリームチーズを使った「こだわりのレアチーズケーキ」(420円)など約10種類のケーキを用意。アーモンドスライスをくだいて生地に練り込みきな粉味に仕上げた「きなっこ」や、抹茶味の「まっちゃっこ」(以上180円)、蔵の屋根の形をイメージした抹茶のパウンドケーキ「蔵の屋根」(200円)など洋と和を組み合わせた焼き菓子もそろえる。
「古民家を負の遺産にしたくないという思いがあった。皆さんに使ってもらいながら残していきたい」と鈴木さん。「日本庭園を整備したり、ほかの棟をカルチャースペースにしたりという考えもある。皆さんが集う場所にし、人と人がつながる場所にしていけたら」とも。
営業時間は10時30分~18時30分。木曜・第1・第3水曜定休。