浜松中心市街の飲食店が現在、新型コロナ対策を講じて再び客を迎えられるよう準備を整えている。
4月8日に8人目の新型コロナウイルス陽性反応者が出て以降、6月29日に9人目の陽性者が出るまで約2カ月間、新型コロナウイルス感染者が出ておらず、政令指定都市としては感染者が少なかった浜松市。一方、7月21日に中心市街地の飲食店でクラスターが発生。7月25日には30人、26日には21人、27日には14人と高い数値での陽性者が確認され、累計陽性患者数は151人となった。クラスター発生から約2週間が経過し、現在、陽性者数も横ばいを保っている。
クラスター発生後、中心市街地の飲食店の被害は深刻で、多くの店で客が大幅に減少。休業を余儀なくされている店も多く見受けられる。そんな中、各店でコロナ対策を強化し、再び客を迎える準備を整えている。
焼き鳥店「酉泰別邸」(中区肴町)では、街中でクラスターが発生したこともあり、5日間店舗を休業し、あらためて3密対策を徹底した。自店では濃厚接触者などは無かったが、スタッフ全員PCR検査を受け、すべての陰性を確認したという。スタッフは毎日検温を行い、手洗いとアルコール消毒を徹底。ホールスタッフは、マスクシールドを着用して接客を行う。入り口にアルコール消毒を置き、来店客の検温も実施。予約の際の連絡先確認をはじめ、来店客の名前と連絡先を確認。いざというとき連絡が取れるようにしている。カウンターやテーブルには、新たにビニールのついたてを設置。ソーシャルディスタンスを保つため、できるだけ個室に案内し、カウンター席は半分ほどに間引きしている。店内には空気清浄機を置き、入り口にアミ戸を設置。換気のため定期的に扉を開放している。「できる対策は徹底して行っている。落ち着いたら、ぜひまた来店してほしい。テークアウトも用意しているので、そちらも利用してもらえれば」とオーナーの山下泰弘さんは話す。
ラウンジ「Win」(中区千歳町)では、飛沫(ひまつ)を防ぐよう、カウンター、テーブルともにアクリル板で区切り、密にならないようカウンターは1席ずつ空けて利用している。予約制をとっており、来店客が重ならないように配慮する。もともと会員制であることもあり、来店客の連絡先を把握しているという。スタッフは、検温と手洗い、アルコール消毒を徹底し、接客中は表情が見えるようマウスシールドを着用する。来店客には、必ず検温とアルコール消毒をしてもらい、もともと体温が高い人もいることから、血中酸素濃度測定器も用意し、数値を確認。問題がある場合には、退店をお願いする。6月には、市からの補助金を利用し、換気扇を新たに2カ所増設。換気も万全になるよう対策している。「6月に10周年を迎えたこともあり、客足が戻っていたが、クラスター発生後は週に1回程度、予約が入ったときのみ開店している状態」とオーナーの近藤美香子さん。「少しでも安心して飲みに来てもらいたいので、3密対策は徹底して行っていきたい」とも。
居酒屋「実味美(さんみ)和房 かぶと」(中区板屋町)では、以前からできる限りの3密対策を徹底しているという。スタッフは検温を行い、マスクを着用し手洗いとアルコール消毒を徹底。入り口とトイレに手指アルコールを置き、来店客にも検温をお願いしている。7月初旬には、飛沫感染を防ぐよう、カウンターとテーブルにアクリル板を設置。ソーシャルディスタンスが保てるよう、4つあったテーブル席を3つに減らし、1.5メートル以上離れるように置いて、それぞれをつい立てで区切っている。テーブル席のアクリル板は、4名席を十字に区切ってあり、前だけではなく横の客にも飛沫を防ぐようにしている。座敷席は、定員6人のところを4人に減らし、ソーシャルディスタンスを確保する。「7月の前半にようやく客足が戻ってきていたが、今は予約の電話も減っている。特に年配の方の来店が顕著に少ない」と店主の中野雅一さん。「今は終息するのを願うしかない。やれる対策は徹底して行っているので来てくれた人に対しては真摯(しんし)に対応していきたい」とも。