旧松菱百貨店跡(浜松市中区鍛冶町)で11月4日から、アートイベント「オン・ライン・クロスロード」(TEL053-451-1355)が開催される。
多様な人が共生する世界を作るためのアート活動や障がい福祉施設の運営など行うNPO法人「クリエイティブサポートレッツ」(中区)が主催する同イベント。同団体は、2010(平成22)年に中区鴨江で設立。多くの人の行き交う街なかに拠点を構えることで多様な人との交流を図ろうと、2018(平成30)年に街中に移転。新型コロナ禍の影響により、中心市街地が衰退していく現状を目の当たりにし、何かできないかと考え、アートイベントの開催を検討した。浜松の中心地のシンボルでもある旧松菱百貨店跡地に、人が行き来することの象徴として交差点を作るアートプロジェクトを考案。同時に、飲食店や物販店が出店するマルシェと音楽イベントを行うことで、街なかの活性化を目指し、開催にこぎ着けた。
同プロジェクトは、茨城県を拠点に活動するアーティスト中崎透さんが制作・監修。開催前日に「道作りワークショップ」を開催し、約1400坪の広大な敷地に、搬入した砂利を使って参加者が線を引き、手作りの大きな交差点を作り上げた。当日は、小学生や中高生を含む約60人が参加し、約2時間30分で完成。「アートは今までの価値観を変えることができる」と理事長の久保田翠さん。今まで無かったものが突然現れ、歩けるようになることで、新たなにぎわいの在り方を実験的に表現する。
同時開催するマルシェ「松菱商店」は、浜松を拠点に活動するクリエーター団体「浜松PPPデザイン」が中心となり企画。良質の豆を使ったコーヒーと自家焙煎豆を扱う「タタズミCOFFEE(コーヒー)」(中区)や、玄米カレーなど販売する多国籍料理店「Beige(ベージュ)」(中区)、ヴィンテージパーツを使う浜松のハンドメードアクセサリー作家「rnk(リンク)」など、合計約30店が出店する。
11月6日と7日には、野外音楽ステージ『砂と砂利と音』で、県内で活動するミュージシャンや障がい者福祉施設の利用者とスタッフで構成するバンドが、ポップスやロックなどの音楽ライブを行う。11月6日に開催する「推し☆たん!!」は、不思議な音楽表現を行う6つのグループがパフォーマンスを披露し、審査する音楽企画。「目的が無くても誰でも入ることができるイベントで、現状の街なかは、ゆっくり過ごすスペースが限られているが、ここでは自由に楽しんで過ごしてほしい」と久保田さんは話す。
新型コロナウイルス対策として、入場時に検温と手指消毒、飲食以外の時間はマスク着用を求める。体調不良の人は入場できない。スタッフは、検温、手指消毒、マスク着用を義務化。会場内では、ソーシャルディスタンスを保つように呼び掛ける。
4日に来場した鈴木よし子さんは「松菱跡地がそのままになっていることを改めて感じた。コロナ禍で大変だが、浜松が活気を取り戻してくれればうれしい」と話す。大学生の高橋のどかさんは「授業内でこのイベントが取り上げられて興味を持った。来場者ごとに自由に過ごしていて、良い雰囲気の空間だと感じた」と話す。
久保田さんは「日頃入ることができない場所なので、来場して歩いてみてほしい。その上で、それぞれに何を感じるかを体感してもらいたい」と呼び掛ける。
開催時間は10時~20時(最終日は17時まで)。11月7日まで。