和菓子店「巌邑堂」(浜松市東区)と社会福祉法人「聖隷福祉事業団」(中区)が3月28日、健康に配慮して共同開発した和菓子ブランド「私菓心(わがし)」の販売を始めた。
血糖値やカロリーを気にする消費者の健康志向を背景に、健康的な和菓子を作りたいと考えた同事業団。人工甘味料を使わず、大切な人への贈り物にふさわしい和菓子を目指し、創業150年以上の歴史を持つ「巌邑堂」へコラボを打診。「健康問題を抱えている人が喜ぶならば作る価値があると考えた」と社長の内田弘守さん。「私の心をお菓子にして届ける」をコンセプトに定め、共同開発がスタートした。おいしさと低カロリーを両立するために、保健事業部の伊熊美紀さんら管理栄養士が監修。量や食材を工夫し、試作を繰り返して完成した。
糖質を抑え、80キロカロリー前後に設定した「私菓心」を3種類用意。できる限り地元食材を使いたいと考え、旬の浜松産の食材を取り入れた。パッケージデザインには、浜松在住の書家中澤希水さんが手がけたが題字を使う。
浜名湖産の生の青ノリを求肥(ぎゅうひ)に入れた「浜松産青のりの大福」は、甘さを控えたあんこが青のりの風味引き立てる「粒あん」(292円)と、白あんに白みそを入れて上品な甘さに仕上げた「白小豆」(313円)の2つの味を用意。白あんの中にスーパーフードと呼ばれるモリンガを入れた「浜松産モリンガのどら焼き」(292円)は、抹茶に似たほのかな苦味とあんこの甘味との組み合わせを楽しめる。一口サイズの「こんにゃくおはぎ(春)」(313円)は、一般的なおはぎと比べて約3分の1のカロリーに抑えた。
季節ごとの旬の食材を使い、今後も新商品の発売を計画している。内田さんは「普段の菓子作りとは違う喜びを提供できる商品ができてうれしい。きっかけをくれた聖隷福祉事業団の人たちと生産者に感謝している」と話す。
伊熊さんは「人とのつながりの中で、出来上がったのが『私菓心』。今後はつながりを生み出すような菓子になれたら」と期待を寄せる。
同店と、4月中旬以降は遠鉄百貨店でも販売する。