カフェ「gramme(グラム)」が3月15日、浜松市中区北田町にオープンした。
屋根工事業を手がける建設会社「柳本産業」(中区)が運営する同店。同社は、浜松の粘土を使った「遠州瓦」のメーカーとして、1890年(明治23年)に創業した老舗。平成初期までは瓦製造をしていたが、現在は屋根の施工や修理を主力事業に展開している。
同店責任者の柳本茉希さんは2019年、家業である同社に入社。小さな頃から瓦職人が周りにいる環境で育ったが、入社したことで瓦業界の活気のなさを改めて感じたという。瓦再興のためのアイデアを模索する中で、誰もが気軽に立ち寄れるコンセプトカフェを新設することで、多くの人に魅力を伝えられると考え、同店のオープンに踏み切った。「古くなっても美しいのが瓦の魅力。自然素材を使ったサステナブルなものは、今の時代に求められているものだとも思う」と柳本さん。
空き店舗を改装した店内は、築50年の建物の魅力を残しつつ、新しい素材を取り入れたデザインに仕上げた。土間とカウンターテーブルには、瓦の廃材を混ぜ込んだ素材を使い、落ち着いた空間を演出する。店内には、建築やデザイン、ライフスタイルに関する書籍を並べ、ブックカフェとしても営業する。
メニューは瓦をモチーフにしたものを用意する。「瓦が生まれてから朽ちるまで」を表現したという「オリジナルブレンドティー」は、奈良産の番茶にゴボウとショウガと合わせた「soil 土」、松で燻製した紅茶とほうじ茶を使った「tuile 瓦」、カモミールやよもぎで華やかな風味に仕上げた「fleur 花」(以上、500円)の3種類を用意する。兵庫県のジェラート専門店「che bonta(ケボンタ)」から取り寄せた無添加ジェラート使った「最中ジェラート」(600円)は、瓦をイメージして竹炭で着色した黒い最中と季節のフルーツ、あんこを添えて提供する。このほか、自家製の「黒ゴマのチーズケーキ」(600円)などを用意する。
店内では、同社の瓦職人が講師となり、粘土を型に入れて鬼瓦を作るワークショップ「瓦づくり体験」(3,000円)も定期開催する。このほか、瓦をデザインした「注染染め手ぬぐい」(1,300円)、日本三大瓦産地とされる淡路の瓦を使った「鬼瓦ストラップ」(1,500円)などのグッズも販売する。
オープン後は、知人の来店やSNSの反響もあり、順調な滑り出しという。柳本さんは「瓦がコンセプトではあるが、まずはカフェとして気軽に楽しんでほしい。ゆったりとした時間を過ごしてもらえたら」と話す。
営業時間は10時~16時。日曜・月曜・火曜定休。