浜松のソースメーカー「鳥居食品」(浜松市中区相生)が4月20日、地域産業の技術支援機関「静岡県工業技術研究所」と共同開発した「ハバネロソース」の販売を始めた。
同社は、1924(大正13)年創業の老舗ソースメーカー。国産野菜を使い、独自製法の「木桶(おけ)熟成」でソースを製造・販売する。
商品開発のきかっけは、3年ほど前に同研究所から駿河湾で採種した乳酸菌を使った食品の共同開発の提案を受けたこと。2年ほど前に、タバスコソースが乳酸発酵食品だと知り、乳酸発酵によるハバネロソースの開発を始めた。
同社ではソース作りの醸造酢発酵に酵母と酢酸菌を使うため、他の菌に汚染されない強い乳酸菌が必要だったという。同研究所が選別した、低温で塩分濃度の高い環境下でも育成する「駿河湾海洋乳酸菌株」での培養・発酵にたどり着いた。
全て静岡産にしたいと、自家栽培野菜を使うレストラン「農ティス」(浜北区)からハバネロを仕入れ、乳酸菌培養には静岡県内の酒造会社の甘酒を培地として使った。同社によると、一般的なハバネロソースの大半は乳酸発酵していないという。社長の鳥居大資さんは「乳酸発酵することでまろやかに仕上がる。単に刺激的なものではなく、辛みの中にも柔らかなおいしさを感じる」と話す。
ピザやカレー、焼きそばなどに少量かけて使うこと推奨するが、使用方法の可能性を広げようと「販売記念モニターキャンペーン」を行う。インスタグラムでハバネロソースをかけた料理写真を投稿することを条件に、抽選で100人に同品を進呈する。
ハバネロ粉砕時の辛み成分は皮膚への刺激が強く、製造数を制限するため、1500本の販売を目指す。鳥居社長は「県の協力の下、ただ辛いだけじゃないおいしさを追求したハバネロソースができた。本当の辛いもの好きな人に少しずつ広めていきたい」と話す。
価格は200ミリリットル入り1,200円。同社オンラインショップと工場直販所、自動販売機で販売する。