菓子メーカー「春華堂」(浜松市中区神田町)が11月1日、掛川市産の栗を使うスイーツ「咲クレール(サクレール) 熟成 遠州掛川栗」の販売を始めた。
同品は、年間11万本を販売する同社の人気エクレア「咲クレール」シリーズの新商品。地元を中心とした企業や団体、掛川市などと取り組む「遠州・和栗プロジェクト」の一環として発売した。
「カスタネット」がスペイン語の「カスターニャ(栗の木)」を語源とすることから、カスタネット型のシュークリームにした。大粒で糖度が高いのが特徴という「掛川栗」を、自社で40日間低温熟成することで甘さを引き出す。2Lサイズの大粒の栗を2つ入れ、きび糖で作るクリームと合わせて仕上げる。
掛川栗の生産量は、後継者不足などが原因で、最盛期の2000年ごろに比べ約5分の1に減少したという。昨年7月に発足した「遠州・和栗プロジェクト」は、地元「掛川栗」の魅力を発信して価値を高めるとともに日本各地の栗産地が一体となり、世界へ向けて「和栗」のブランド化を目指す。現在は同社の他、遠鉄百貨店や日本航空、JA掛川市などが参画する。春華堂ブランド戦略室の高山慎吾さんは「国内の地域間で競争するのではなく、各地のブランド栗がタッグを組むことで、日本の食の価値を高めていきたい」と話す。
9月の「掛川栗収穫祭」では、生産者の大変さを学ぼうとプロジェクト運営チーム100人以上が集まった。今月13日には、掛川市の早川栗園で「掛川栗植樹祭」を開き、植樹50本とセレモニーを行う。
「今年収穫して熟成させた栗を使い、おいしいスイーツができた。地元の人はもちろん、多くの人に味わってほしい」と春華堂企画担当者の雪島知佳さん。「この菓子をきっかけに、『掛川栗』や『和栗』のことを知ってもらえたら」とも。
高山さんは「プロジェクトをきっかけに企業間の交流が進んでいる。和栗に限らず、今後の企業間のイノベーションを楽しみにしている」と期待を寄せる。
価格は1個700円。同社直営6店舗で販売する。