焼き豚を販売するカフェ「武田屋本店+ハルシオンブルーコーヒー」(浜松市中央区有玉台、TEL 053-401-7395)が3月3日、移転リニューアルした。
やわらかな光のともる穏やかな空間をコンセプトにデザインした店内
「武田家本店」(中央区元浜町)は、創業75年の精肉店。父の後を継ぐ2代目店主の田中三雄さんが、息子の秀澄さんが運営してきたコーヒー焙煎(ばいせん)所「ハルシオンブルーコーヒー」と共に、焼き豚をメインに総菜を販売するカフェとして移転リニューアルした。店舗の老朽化のため店を畳むことも考えたが、看板商品の焼き豚など、長年愛された味を守りたいという思いがあったという。「おしゃれなカフェは堅苦しさがあるが、焼き豚店と一緒になることで、下町らしい親しみが生まれる」と話す秀澄さんと三雄さんの妻・悦子さんの親子3人で力を合わせ、地域に親しまれる店を目指す。
店舗面積は約10坪。席数は、テーブル=8席、カウンター=2席。グレーを基調にした店内は、ビンテージやデザイナーズ家具を並べ、やわらかな光のともる穏やかな空間をコンセプトにデザインしたという。欧州のデザイナーによる食器や国内作家が手がけた茶器など、店内に飾られた20種類ほどの食器から好みのカップを選んでもらいコーヒーを提供する。いずれも秀澄さんが集めた。
豆はスペシャルティーコーヒーを使い自家焙煎する。オリジナルブレンドコーヒー「季節のブレンド」(400円)は、甘みと酸味、果実やナッツのフレーバーを感じるという「催花(さいか)」のほか、ほろ苦さとコク、フルーティーな風味が広がるという「蒼色(そうしょく)」などを用意。豆も販売し、価格は100グラム=750円。「今月のSP」(600円)は月替りで提供するコーヒーで、酸素に触れないよう発酵させた豆「アナエロビックハニー」を焙煎した「Costa Rica(コスタリカ)」は、口に含むと果実の風味を感じるという。「抹茶ラテ」(450円)は、茶道をたしなむ悦子さんが立てた抹茶で仕上げる。「本日の焼き菓子」(250円)は、旬のフルーツを使う手作りのパウンドケーキなどを週替りで提供する。
看板メニューの「焼き豚」は、創業時から継ぎ足してきたというたれを使い2時間ほど煮込む。異なる豚肉を使い分け、「ポーク遠州産」(100グラム=390円)、「霧島ポーク」(同450円)、柔らかい食感が特長の銘柄豚を使うという「麦小町」(同420円)などを用意。総菜は、焼き豚を一緒に炊き込んだ「こぶた飯」(500円)、「チャーハン」(各400円)などをそろえる。
オープン後は移転前の常連客が多く来店しており、今後は地域に少しずつ浸透していけばと期待を寄せる。秀澄さんは「店のロゴマークは、3つの滴と波模様を組み合わせてデザインした。マークに込めた思いの通り、親子3人で力を合わせて波紋を広げていきたい」と話す。
「自分もコーヒーを提供できるように、ドリップに挑戦している」と三雄さん。「今までの肉屋とは違う年代の人が来店するので、コミュニケーションが楽しく、毎日が新鮮で刺激がある。息子と一緒に仕事できることがうれしい」と話す。
営業時間は10時~18時(土曜・日曜は18時30分まで)。月曜・火曜定休。カフェ営業は土曜・日曜のみ。