浜松市民有志が制作を手がけた、文字のない絵本「浜松ウィンメルブック」の完成記念パーティーが12月7日、マイン・シュロス(浜松市中央区中央3丁目)で開かれた。
ドイツ語圏発祥の「ウィンメルブック」は見開きページ一面に街の風景を描き、文字がない分、見る人が自由に想像を広げることができる。「浜松」版の制作を手がけたのは一般社団法人ファンバンク(山崎真之輔代表)と浜松ウィンメルブック制作実行委員会。ファンバンクメンバーの大城七瀬さんが3年前、神奈川県鎌倉市を訪れた際、「鎌倉ウィンメルブック」を見て、その魅力にほれ込んだのがきっかけという。大城さんは「子どもたちの浜松愛を育てるために、浜松でも制作したい」と仲間に協力を呼びかけた。
メンバーは浜松の歴史や文化、産業、民話などをじっくり取材しながら中身について議論を重ね、実際の作画は「てんぐちゃん」で知られる地元の張り子作家・坂田吉祥さんが担当した。坂田さんは「以前から、時代を超えるような鳥瞰(ちょうかん)図を描いてみたかった。今回その思いが実現し、楽しんで描くことができた。郷土資料として後世に残る絵本になれば」と話す。
完成した「浜松ウィンメルブック」は見開きA3版で全7ページの構成。浜松市の旧行政区7区(中、東、西、南、北、浜北、天竜)を1区ずつ取り上げ、正月から春、初夏、夏、初秋、晩秋、冬へと移ろいゆく街の表情を描く。旧南区は浜松まつりのたこ揚げを大きくあしらい、旧中区は浜松のシンボル、アクトタワーや音楽の演奏を楽しむ市民の姿を、三方原古戦場のある旧北区は武田信玄ににらまれ逃げ腰の徳川家康をユーモラスに表現している。
出版記念パーティーに出席した中野祐介市長は「ウィンメルブックで浜松の良さを知ってもらいたい」とあいさつした。
「浜松ウィンメルブック」は「鎌倉」版、「湘南」版に次ぎ国内3例目。浜松市内の小学校や幼稚園、保育園などに寄贈するほか、一般販売もする。ファンバンクの山崎代表は「最高の絵本ができた。多くの人に手に取っていただくことで、ますます浜松が元気になれば」と話す。
初回3000部発行。価格は1部3,300円。