浜松・鴨江の浜松市鴨江別館(浜松市中区鴨江)で現在、写真展「記憶の交差展 -街かどの時間を切り抜いた学生写真展-」が開催されている。主催は静岡大学の有志9人で結成された「松菱を記憶に残す会」。
同会代表の上野壮大(そうた)さんは「この会のメンバーは県外の人も多く、松菱百貨店の創業当時を知らない者ばかり。ただ単純に学生の目から見て美しいと思える建物であったこと、戦争を経ても残った建物であること、かつての百貨店の魅力、それらを記憶という形で残したいという思いから結成された。松菱を知らない『よそ者』が見つけた美しさを見てもらいたいのと、一人ひとりの松菱に対する記憶を共有したい」と話す。
会場には旧松菱百貨店の現状を撮影した写真を中心とした写真約50点や創業当時のチラシ、写真など過去の資料約20点を展示。当時、松菱に出店していて現在も営業を続けている店舗へのインタビュー映像も上映する。会場は、展示品を通し松菱百貨店の過去、現在、未来を巡る構成とした。
上野さんは「自分自身も浜松に来て松菱を知った。初めて中に入ったときは郷愁のようなものを感じた。現在の内部写真に関しては、これまでもこれからも見る機会はあまりないと思われる。閉店10年を区切りに松菱を振り返り、新たに知っていただけたら。当時の松菱を知らない学生が撮った写真をより多くの人に見てほしい。当時を知っている方にも、私たちのように知らなかった方にも展示に足を運んでもらえたら」と話す。
「中には写真を見て涙する方や、『子どものころに親に連れて行ってもらった』と自分の子どもを連れてお越しいただく方もいた。今回展示したものは冊子にするなりどこかへ寄贈するなりの形でまとめていければ。今回で終わりではなく何らかの形でまた活動したい」とも。
開場時間は11時~20時30分(12日=10時~。13日=10時~17時)。今月13日まで。