浜松・三方原のミニ図書館「えほん文庫」(浜松市北区三方原、TEL 053-439-3810)が2月2日、来館者数5000組を達成した。
絵本をメインに児童図書や母親向けの育児本など約2500冊をそろえる
自宅の一部を開放し絵本や児童図書を貸し出す「家庭文庫」として運営する同館。主宰する大村由実さんが自宅を建設する際、「絵本屋さんをやりたい」という思いから自宅にホールを併設。近隣に書店があることから形態を変えてミニ図書館として2007年から始め、昨年11月で10周年を迎えた。オープン当初から来館者名簿をつけており、2月2日にその人数が5000組目を数えた。
所蔵する本は、絵本をメインに児童図書や母親向けの育児本などもそろえる。オープン以前から絵本が好きで自らの趣味で集めた本や、いらなくなった本の寄付や自費で購入するなどして蔵書が徐々に増え、10年間で2500冊を超えた。赤ちゃんから小学生向けを対象に、昔話や科学などジャンル分けもしていることから、「既存の図書館とは違う並びで楽しい」という声もあるという。オープン当初はなかなか認知度が上がらなかったが、絵本が純粋に好きな人や悩みを抱えた母親などが来館。口コミやブログの影響もあり、毎週来館する常連も増えていった。
5000組を数えた当日、来館した5000組目の親子には同館オリジナルグッズの絵本バックとクリアファイルをプレゼントした。大村さんは「1人目の来館者があったから今があると考えると感慨深い。10年の間に家族内でもいろいろ苦労があり、運営をやめて自ら働きに出ようと思ったこともあったが、来館してくれる人たちやサポートしてくれる人たちがいてくれたからこそ続けてこられた。皆さんに感謝している」と話す。
同館では「絵本を中心とした地域交流の場」を目指し、「おはなし会」や「赤ちゃんのママ会」など子育てをする母親を支援するさまざまな会を開いている。ダウン症の子どもを持つ親や子どもの発達に心配のある母親が集まる会、子どもを亡くした親の会など、悩みを抱えた母親の声に応えてさまざまな会が生まれていったという。「同じ境遇の人がいなくて1人で抱え込んでいた人をつないできた。友だち作りができ、同じ境遇同士話しやすいと喜んでもらえている。不安を抱えた母親が帰る時に笑顔になってくれることが私の喜びにもつながっている」と大村さん。今後について「さまざまな会が増え、母親たちから喜んでもらえてはいるが、これからは原点に戻って『絵本の魅力を伝える』活動にさらに力を入れていきたい」と意気込む。
開館時間は、木曜=15時~17時、金曜=10時~12時。