日本料理店「味ごよみ 勢麟(せいりん)(浜松市中区元城町、TEL 053-450-1024)」が10月11日、浜松・元城町にオープンした。
イチョウの一枚板のカウンターや内装に杉をふんだんに使った店内
子どものころから親と一緒に山に入り、山菜採りや猟を経験してきた店主の長谷部敦成さん。自然が好きで、山のおいしい食材を多くの人に食べてもらいたいという思いで料理の道に入った。約10年間日本料理店で修業を積み、独立してオープンにこぎ着けた。
店舗面積は約15坪。カウンター8席、テーブル個室6席、掘りごたつ3席の計18席。カウンターはイチョウの一枚板を使い、内装にも杉の木をふんだんに使うことで木のぬくもりがある店内。外の明かり取りに約100年前の欄間(らんま)を使い、掘りごたつ席にはイノシシ鍋もできる囲炉裏(いろり)を設けた。器にもこだわり、江戸時代や明治時代のものを使い、日本酒を提供するグラスも料理に寄って使い分ける。
提供する料理は、長谷部さん自身で山に入って採った山菜や猟で捕れたイノシシなどのジビエ、舞阪や御前崎などの漁港に直接出向いて仕入れた旬の魚などを使ったコース(8,000円~)を提供。一品料理はその日の食材と客の好みや要望を聞いて調理する。今の季節は、マツタケやイノシシ、マダイ、アマダイなどが旬だという。マツタケは土瓶蒸しや、炊き込みご飯などで提供。炊き込みご飯には山で捕った癖がなく甘みのある「ヤマドリ」でだしをとって炊き込む。イノシシはヒレやタン、ハツ、ロース、バラなどさまざまな部位を炭火焼きで提供。市場に出回らない珍しい部位を食べることもできるという。イノシシの油抜きをし、残ったコラーゲンと野菜を一つにした「沢煮椀」のような日本の伝統的な料理も提供。料理は極力シンプルな味付けで素材の味を全面に出すように心がけているという。「調味料を加えておいしさを出すのではなく『引き算の料理』をモットーにしている。良い素材を使えば香りもよく、おいしい料理ができる」と長谷部さん。11月からは毎日山に入り猟をし、春にはワラビやカンゾウ、ギボウシなどの山菜を採り、天ぷらやおひたしなどで提供する。
「山の幸や海の幸は15日周期で旬が変わっていく。常にその季節を感じられる素材を用意し、料理を提供していく」と長谷部さん。「もともとある日本料理の原点に帰り、どこが始まりかを掘り下げて日本料理を提供していきたい」とも。
営業時間は18時~23時。