「浜松市美術館」(浜松市中区松城町、TEL 053-454-6801)で現在、企画展「ハイジ展 あの子の足音がきこえる」が開催されている。
1974(昭和49)年に放送開始したテレビアニメ「アルプスの少女ハイジ」。スイス人作家ヨハンナ・シュピーリが1880(明治13)年に出版した2冊の小説が物語の原作となる。学芸員の島口直弥さんは、子どもや家族連れ向け企画展を模索する中、2019年にスイス国立博物館で、「アルプスの少女ハイジ展覧会」が開催されたことを知った。展示品のほとんどが日本国内のものだったことから、同展を企画。原画や絵コンテなど実物にこだわり、同館オリジナルの企画展として開催にこぎつけた。
展示総数500点以上をそろえ、ハイジを文学とアニメーションの2つの視点から紹介する。1階では、原作者直筆の手紙や原書、世界各国の翻訳本に掲載した挿絵やイラストの原画を展示。このほか、1920(大正9)年に出版した日本初の訳本やハイジを描いた少女雑誌などが並ぶ。
2階では、テレビアニメの制作者による、制作当時の原画や絵コンテ、セル画などを紹介。監督の高畑勲さんや場面設定の宮崎駿さん、作画監督の小田部羊一さんらが実際に使っていた机も展示する。このほか、日本のテレビアニメ史上初の海外ロケハンを行った際のデッサンや小物なども紹介する。
同展用に小田部さんが描き下ろしたメインビジュアルをプリントした「クリアファイル」(440円)や「トートバッグ」(2,420円)などを販売。テレビアニメキャラクターのパネルも設置し、フォトスポットとして利用できる。
開催後は、県内外からも多くの人が訪れ、食い入るように見学する来館者もいるという。「ハイジをきっかけに浜松の街をもっと知ってもらえたら」と島口さん。「実物にこだわった本気のハイジ展。子どもも大人も、知って学んで楽しんでほしい」とも。
開催時間は9時30分~17時。月曜休館(8月は無休)。入館料は、大人=1,400円、高校生・大学生・専門学生=1,000円、中学生以下=無料。9月11日まで。