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浜松・植松町のベビー用品店が93年の歴史に幕 育児に寄り添う接客貫き

「赤ちゃんと人形のお店 河田」専務の河田宗樹さん(右)と妻の愛さん

「赤ちゃんと人形のお店 河田」専務の河田宗樹さん(右)と妻の愛さん

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 ベビー用品と節句人形の専門店「赤ちゃんと人形のお店 河田」(浜松市中央区植松町、TEL 053-462-9438)が9月29日、閉店する。

閉店セール中の「赤ちゃんと人形のお店 河田」

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 同店の創業は1931(昭和6)年。籐(とう)の乳母車職人だった現社長・河田重克さんの曽祖父が、「河田乳母車店」として中央区板屋町で商いを始めたのが出発点。第2次世界大戦時は、鉄の使用が禁止されたため乳母車の車輪を木で作るなどして商いを続けたという。空襲により店舗が全焼したが、終戦から3年後の1948(昭和23)年に営業を再開。1993(平成5)年に浜松駅前の区画整理を機に現在の場所に移転した。同年、2代目に店を引き継ぐとともに店名を「赤ちゃんデパート河田」に変更し、ベビー用品やマタニティー用品、節句人形など幅広い商品の販売をスタートした。

 大手チェーン店やネット通販が台頭する中でも、商品を丁寧に説明し育児に不安を抱える人に寄り添う接客で、実店舗ならではの強みを生かしてきた。4代目で専務の河田宗樹さんは「販売スタッフのファンになり、2代、3代に渡って利用してくれるお客さまも多かった」と振り返る。

 2021年には、デパートという呼び名が時代になじまないと考え、店名を「赤ちゃんと人形のお店」に変更。店内の内装やロゴも、現代のトレンドに合わせて一新した。店舗2階では、ハーフバースデーやハイハイレース、クラシックコンサートなど赤ちゃんも保護者も楽しめるさまざまなイベントを開催。イベントを通して来店客とスタッフの距離も縮まり、慣れない育児に不安を感じる親の心のよりどころにもなっていたという。

 しかし、少子化の影響により売り上げは徐々に減少。コロナ禍以降のネット通販の台頭など、消費者の購買行動も大きく変化する中で今春、秋には店を閉めると決めた。

 現在閉店セールを行っており、開始当初は2時間以上行列ができる日もあったという。今後は、来春をめどに子どもが自ら成長する力を育てるという「モンテッソーリ教育」の講座を開講させる予定。「100年には届かなかったが、これまで続けてこられたのは地元の人のおかげ。閉店前に販売スタッフに会いに来てもらえたら」と河田さん。「業態は変わるが、今後も子どもたちの生きる力を伸ばすサポートをしていきたい」と意気込む。

 営業時間は10時~16時。火曜・水曜・木曜定休。商品の在庫がなくなり次第、29日を待たずに閉店する。

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