浜松で版画家・須藤萌子さんの個展-「離れゆく線と」をテーマに

自らの作品にほほ笑みを浮かべる須藤萌子さんと展示作品

自らの作品にほほ笑みを浮かべる須藤萌子さんと展示作品

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 浜松・有玉西町のギャラリー「風蘭(ふうらん)」(浜松市東区有玉西町、TEL 053-448-7440)で現在、須藤萌子さんの個展「離れゆく線と」が開催されている。

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 湖西市在住の須藤さんは、母校である浜松江之島高校で版画と油絵の講師を務める傍ら、作品制作を手がけて個展を行っている。同ギャラリーの個展は、2008年12月以来2度目の開催。

 同展のテーマである「離れゆく線と」は前回と同じテーマで、須藤さんの版画に対する考え方がベースとなっている。高校卒業後、静岡大学に進学した須藤さん。当時は油絵をメーンに作品を制作していたが、そのままの感情が作品に反映される油絵の制作に行き詰まっていたところで版画に出合った。「版画は、制作中のものと作品とでは左右反転したり、色使いも出来上がるまで最終形が見えず、いくら自分が気持ちを込めても銅板の金属の冷たさは変わらないため、作品と自分の気持ちとの距離が詰まらない」と須藤さん。以来、版画を中心に作品を作っている。

 須藤さんについて、同ギャラリーオーナーの吉田裕子さんは「感性がとても良く、版画を楽しんでいるのが非常によく作品に出ている。版画の可能性を自分なりに試し、確かめながら作品を作っているので、毎年変わってどんどん良いものになっている」と話す。須藤さんも「前回の個展から今回の個展までの間、特に意識して作品に何かを入れ込んだというものはない。誰もが何かに影響を受けて生きている。この2年間でいろいろな人と出会い、ものを見る中で受けた刺激は多く、2年前の自分と今の自分では違うため、作品はそのまま表現した」と話す。

 須藤さんの作品はすべてが一点もの。通常版画は同じものを何枚も刷るためロットナンバーが付くが、須藤さんの場合は1枚刷るごとに銅版を洗って色を詰め直すため、すべての作品が一点ものとなり作品には「1/1」のナンバーが記されている。同展では大小30点ほどの作品を展示する。

 小学校の文集に「将来画家になる」と書いた須藤さん。「最近小学校の同級生に会ったときに『夢をかなえたんだね』と言われたものの、自分では実感がない」と話す。「しかし、これからも絵は描き続けたいし、絵の楽しさを今度は教室などを開くことでもっといろいろな人に伝えていきたい」と意気込みを話す。

 9月には焼津市の美容室「チャールズウォーゼン」で個展を開催する予定。

 開催時間は10時~18時。7月24日まで。

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