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浜松・元目町のコーヒー豆専門店が閉店 「スペシャルティーコーヒー」にこだわり

店主の羽田さん(左)と妻の由美子さん(右)

店主の羽田さん(左)と妻の由美子さん(右)

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 コーヒー豆専門店「コーヒー屋ポンポン」(浜松市中区元目町、TEL 053-454-3588)が7月4日、閉店する。

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 1993(平成5)年に、店主の羽田圭伸さんが中区曳馬で喫茶店「コーヒー工場ポンポン」としてオープンし、妻の由美子さんと二人三脚で経営してきた。2000(平成12)年、区画整理に伴い同所へ移転。喫茶店として営業を続けてきたが、羽田さんが「スペシャルティーコーヒー」と出合い、その理念に感銘を受けたことをきっかけに、コーヒー豆専門店に業態変更。2003(平成15)年に再スタートを切った。

 スペシャルティーコーヒーは、味や香りなどが決められた評価基準を満たし、生産体制や工程に至るまで品質管理を徹底したコーヒー。「一粒の種から一杯のカップまで」を意味する「from seed to cup」を掲げ、生産者が適切な利益を確保し、コーヒー農園が安定して栽培を続けられるサステナビリティーも重視する。羽田さんは、スペシャルティーコーヒーにこだわり、中南米を中心に海外まで足を運び買い付け。当時まだ全国的にも珍しかったという、個人で生産者から直接買い付ける「ダイレクトトレード」を行い、コーヒー豆の品質向上を促すとともに、持続可能な農業へ貢献してきた。「発展途上国で頑張る生産者たちの糧になればと思い22年間続けてきた」と羽田さん。販売するコーヒー豆は、生産者が作った味を忠実に再現できるように、焙煎(ばいせん)・販売を続けてきた。

 羽田さんは、年に1、2回は海外へ足を運び、生産者と対話し味を確認する「カッピング」を行ってきたが、新型コロナ禍で渡航を断念。輸入経費が上がり、世界的な異常気象によるコーヒー豆の品質低下による影響で仕入れ価格も高騰した。しかし、販売価格を上げることはせず、年齢的にも次のステップに進む良い機会と捉え、閉店を決意した。10月からは同所でたい焼き店をオープンする計画を立てている。

 「創業当初はまばらだったが、口コミなどで少しずつファンが増えた」と由美子さん。「曳馬の喫茶店時代から2世代にわたって通ってくれる人もいる。小さかった子どもが大きく成長して店に来てくれるのがうれしかった」と笑顔で振り返る。

 羽田さんは「自分たちは店を閉めるが、おいしいコーヒー豆を提供する店は浜松周辺にたくさんある。好みの味を見つけてこれからもコーヒーを楽しんでほしい」と話した。

 営業時間は10時~19時。火曜・水曜定休。豆の在庫がなくなり次第、4日を待たず閉店する。

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