喫茶店「喫茶 飛行船」（浜松市中区千歳町、TEL 050-8881-4910）がオープンして1カ月がたった。

コーヒー本来の風味が残り、濃い味わいに仕上がるという「サイフォン式コーヒー」

　元々同店の常連客だったオーナーの阿部幹雄さん。同店は昨年12月に閉店することになったが、自身が店を引き継ぎ経営したいと以前のオーナーに申し出た。「落ち着いた雰囲気の中でコーヒーを楽しめるこの店のファンだったため、無くなってしまうことが惜しかった。コロナ禍の影響で中心市街地の活気がないため、街の活性化に役立ちたいという思いもあった」と阿部さん。当時の店名とサイホン式コーヒーにこだわる喫茶店というスタイルも引き継ぎ、オープンすることとなった。

　店舗面積は約10坪で、カウンター席6席とテーブル席6席の合計12席を用意。店内は、グレーの壁面タイルや木目のカウンターを使い、シックで落ち着いた雰囲気に演出する。

　サイホン式とは、フラスコ内の水を沸騰させ、気圧の変化を利用してお湯を移動させながらコーヒーを抽出する方法。ドリップ式コーヒーより手間がかかるが、フィルターを通さないため、コーヒー本来の風味が残り、濃い味わいに仕上がるという。「抽出過程を見ることができるので、目でコーヒーを楽しむ演出にもなる」と阿部さん。口当たりがやわらかく調和の取れたオリジナルブレンド「飛行船ブレンド」や、深みのあるコクと香りに甘みが加わる「イタリア－ノ」など、4種類のサイホン式コーヒーを用意する（各600円）。

　食事やデザートも用意。厚切りのトーストにたっぷりのチーズをのせ焼き上げる「チーズトースト」（700円）は、蜂蜜をかけてチーズとのハーモニーを楽しむこともできる。国産小豆の粒あんで包む「おはぎ 生クリーム添え」（550円）は、抹茶パウダーをかけて提供。和風の菓子ではあるが、ほどよい甘さに仕上げるため、コーヒーとの相性が良いという。このほか、独自に配合するスパイスを使い辛口に仕上げる「カレーライス」（800円）や、濃厚なバニラアイスクリームにエスプレッソコーヒーをかける「アフォガード」（650円）などをそろえる。

　新型コロナウイルス対策として、来店時に手指のアルコール消毒と検温を求める。スタッフは、出勤前の検温、マスク着用、手指消毒を義務化。店内は、空気清浄機とサーキュレーターで換気を行い、飛まつ防止のためカウンターにパーティションを設置する。

　コロナ禍の影響で街なかの人出も少なく、厳しい環境でのスタートとなったが、今後はメニューの充実などで工夫し、より魅力ある店づくりを目指す。「コロナの収束がはっきりと見えない中だが、以前のような活気ある街を取り戻せるように微力ながら貢献していきたい」と阿部さん。「街なかでほっと安心できる憩いのスポットになれれば」とも。

　営業時間は11時～19時30分。