浜松・舞阪町に受注販売専門製菓店「patisserie.Fou（パティスリー フー）」（浜松市西区舞阪町、TEL 053-424-5645）がオープンして1カ月がたった。

　約1年前に、自動車や宇宙関係などの試作部品や治工具の製造をする特級技能士のいる試作品工場として同社を立ち上げた代表の森勝呂（かつろ）さん。順調に仕事も増え、事務スタッフを探していたところ、パティシエとして働いていた娘の恵夢さんが事務仕事を引き受けてくれることになった。恵夢さんが事務仕事をしながらも菓子作りをしたいと思っていたことから、食品事業部立ち上げを決意。工場の筋向かいにある自宅裏倉庫を改装し、厨房（ちゅうぼう）を構え、オープンにこぎ着けた。

　受注販売専門の同店。出来上がった菓子は恵夢さんの自宅の玄関先で受け渡し。営業時間はあえて定めず、客の要望に応じて、常識のある範囲内の時間帯で製造や受け渡しをしているという。これまでに「会社のスタッフと食べたいので、出勤前に受け取りたい」といった要望や、「仕事終わりに取りに行きたい」という要望にも応えてきたという。

　販売する菓子は、パウンドケーキやアメリカンクッキーなどの焼き菓子から、デコレーションケーキ、フルーツタルトなどの生菓子まで幅広く対応。決まったメニューはなく、全て客の要望に沿って製造。味の好みやどのようなデザインにしたいか、シチュエーションなどを注文の際に聞き取り、「おいしい夢をお届け」をコンセプトに世界に一つだけの菓子を作る。美しいデコレーションケーキを目指すのではなく、奥さんや母親が家族のために作る愛情のこもった菓子作りを大切にしているという。今までには、サッカーボール型のケーキやキャラクターの立体ケーキなど、さまざまな要望に応えてデコレーションケーキを製造。菓子だけでなく、パンやピザを作ることもでき、ケーキのスポンジだけの対応もできるという。

　恵夢さんは「基本的に甘さ控えめに作っているが、要望によって甘さ加減やクリームの量、フルーツの量などにも対応している。『こういったものを作れるか』とどんどん聞いてきてほしい。可能な限り要望に答えていきたい」と話す。「普通のケーキ店は売っているものを買うだけのスタイル。全て客の要望を聞けるのが当店の強み。焼き菓子の特注の型を作ったり名前やロゴなどの焼き印を作ることなどもできる」と勝呂さん。「親子で作るものは違うが、ものづくりに情熱を注いでいきたい」とも。

　基本料金は、デコレーションケーキ（15センチメートル）＝3,000円、パウンドケーキ＝1,200円、アメリカンクッキー（6枚）＝500円（以上、税別）。要望によって金額は変動。メニューにない商品にも対応する。