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浜松・中郡町の万斛庄屋公園に古民家レストラン 家康ゆかりの地を憩いの場へ

「万斛庄屋屋敷 鈴松庵」シェフの青山兼久さん(右)とスタッフ

「万斛庄屋屋敷 鈴松庵」シェフの青山兼久さん(右)とスタッフ

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 レストラン「万斛(まんごく)庄屋屋敷 鈴松庵(れいしょうあん)」(浜松市東区中郡町、TEL 053-434-0105)が4月11日、万斛庄屋公園内にオープンした。

前菜の盛り合わせと「カボチャのスープ」

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 万斛庄屋公園には、旧浜松藩庄屋の鈴木権右衛門の屋敷跡があり、徳川家康も立ち寄ったとされる公園。2010(平成22)年に地権者から浜松市へ寄付されたが、敷地内の家屋などは老朽化が激しく、撤去の話が出ていたという。

 歴史ある建物を改修し地域交流の場として生かしてほしいとの地域住民からの声が多く2020年、市は県内初の取り組みとして「Park-PFI(パークピーエフアイ)制度」の利用を決めた。国が定める当制度は、民間事業者が公園内で事業を行う代わりに、収益を公園の整備・管理に還元するもの。浜松市役所公園課長の中村浩一さんは「当制度は全国40カ所以上の公園で適用されているが、もともとある建物を生かした事業は全国的にも珍しく、注目されている」と話す。

 一昨年、地元電気設備会社「松川電気」による運営が公募で決まり、母屋をリノベーションしたレストランのオープンを決めた。社長の小澤邦比呂さんは「周りの支援により会社は成り立っているので、地域に恩返ししたかった。地域住民の憩いの場になってほしい」と話す。

 席数はテーブル席のみ30席。建物の柱や窓などできるだけ昔のまま生かし、落ち着いた和の空間に仕上げた。離れには「茶室」を用意し、プランによってデザートの際に利用できる。

 地元ホテルの料理人として40年以上経験を重ねた青山兼久さんがシェフを務める。フレンチに和のテイストを合わせ、できる限り地元食材を使ったランチメニューは、2種類を用意。「Aセット」(2,200円)は、カボチャ、タマネギ、ニンジンなどをブイヨンで煮込んだ「カボチャのスープ」、低温調理でやわらかく仕上げた「国産鶏モモ肉のコンフィ」などのセット。「Bセット」(2,970円)は、煮込んだキノコの上にスクランブルエッグをのせた「浜北茸のスクランブルエッグ」などの前菜が加わる。カフェメニューとして、ドリンクや「ガトーショコラ」、「ベイクドチーズケーキ」(以上750円)などのケーキも用意する。

 NPO法人「旧鈴木家跡地活用保存会」の村木正彌(むらきまさや)さんは「自分たちの力だけでは、建物を残すのは難しかった。生まれ変わった姿を見て報われた思いがある」と話す。

 松川電気は、社会貢献活動の一環として、オープン時に浜松視覚特別支援学校と「旧鈴木家跡地活用保存会」への寄付金贈呈式を行った。小澤さんは「レストランだけでなく、地域住民に貸し出す施設もあるので、子どもから大人まで楽しんでほしい。これからも市、地域住民、民間企業の3者で協力し、地域に根ざした場所にしていきたい」と話す。

 営業時間は、カフェタイム=10時~11時、14時~17時、ランチ=11時~14時。水曜定休。未就学児は入店不可。

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